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営業ルールはなぜ形骸化するのか:正当な例外だけを1回通す、例外承認の設計

営業ルールが形骸化するのは、守れない正当な場面に逃げ道が無く、形だけ満たす入力に流れるからです。この記事の基準表と計算例で、ルールを緩めずに例外を1回だけ通し、月次で条件を直せるようになります。

RevenueScale 編集部公開 6分で読めます

営業ルールの形骸化とは:守れない場面に逃げ道が無く、形だけ満たされる状態

営業ルールの形骸化とは、ルールが SFA の設定や資料には残っているのに、現場の判断と記録に効かなくなった状態のことです。必須欄を破る人がいなくても、形だけ満たす入力が増えれば起きます。

  • 形だけ満たす:必須欄に「未定」、金額に仮の値を入れて先へ進む。ルールは守られたことになり、記録から事実が消える。
  • 裏の表で管理する:本当のヨミを別の表計算で持ち、SFA は会議の前日にだけ合わせる。
  • 口頭の「今回だけ」が積み重なる:上長がチャットで認め、翌月には前例として別の案件にも使われる。

根にあるのは、守れない正当な場面に逃げ道が無いこと

例えば、既存顧客の席数追加で、提案書を作らず見積書だけで進む案件があります。「提案書が入力済み」を求めるルールは、この案件では守れません。

正規の逃げ道が無いと、担当者に残るのは、破る・形だけ満たす・外してもらうの3つです。どれを選んでも、ルールは弱くなります。

入力そのものが定着しない場合は、SFA を定着させる方法で扱っています。

例外承認の基準:禁止は2条件を満たすルールだけ、承認は目的で決める

例外を承認するかは、ルールの文言ではなく、ルールの目的が別の事実で確かめられたかで決めます。その前に、どのルールを禁止にするかを絞ります。

禁止にするのは、2つを満たすルールだけ

停止中は判定だけ、警告は知らせたうえで進められ、禁止は満たすまで進めません。例外承認が要るのは禁止だけです。 新しいルールは停止中か警告で数週間回し、満たさない理由を集めてから、次の2つを満たすものだけを禁止にします。

  • 破られると予測が崩れる。コミットに入る段の条件のように、判断の土台になる。
  • 正当な例外を1〜2文で言える。言えないルールを禁止にすると、承認が人によってぶれる。警告のまま週次で見る。

警告の間に充足率を読む手順は、商談フェーズの移行条件で扱っています。

申請は3つの要素で書かせ、この表で決裁する

理由は「満たせない事実」「代わりに確かめたこと」「満たす見込み」の3つで書いてもらいます。 通す範囲は1案件・1ルール・1回で、使ったその場で効力を消します。 決裁が遅いと担当者は形だけ満たす道へ戻るので、「1営業日以内」のように目安を決めます。

例外の申請を承認するか、差し戻すかの基準
申請の中身判断理由
ルールの目的が、別の事実で確かめられている承認ルールが守ろうとしたものは守られている
事実はあるが、欄が空いている差し戻し。入力を求める通すと、入力しない習慣を承認することになる
事実がまだ無い。期末に間に合わせたい差し戻し。ステージは据え置き、想定クローズ日を見直す通すと、予測に事実の無い金額が入る
理由が「先方都合」「急ぎ」だけ差し戻し。3つの要素で書き直してもらう判断の材料が無い

承認を求めるのは先へ進める向きだけにし、予測区分を下げる・日付を後ろへずらす・失注にするは承認なしで通します。 悪い知らせを承認待ちで止めないためです。

計算例:例外率と理由の偏りで、3つのルールの直し方を決める

例外をルールごとに月次で数え、例外率と理由の偏りを並べると、条件を直すのか、人を見るのかが分かれます。

例外率 = 例外で通した件数 ÷ 先へ進んだ件数

ルールごとに月次で数える。分母には、例外で通した件数も含める

例禁止にしている3つのルールを、月次で判定する

営業担当12名の組織で、1か月の例外をルールごとに数えたとします(3つとも前月も同じ傾向)。 判定の目安は、例外率が2か月続けて2割を超えたら理由を読み、1つの場面に半分以上が集まれば条件に書き足す、と置きます。 1人の担当者に集まっているなら、先にその人の進め方を見ます。

  • 提案済み「提案書 URL が入力済み」:40件中9件(約23%)。9件中7件が既存顧客の追加で、見積書だけで進めていた。→ 条件を「提案書か見積書の URL」に改める。
  • 口頭合意「予算が確保済みか申請中」:18件中2件(約11%)。2割に届かず、理由も別々。→ そのまま続ける。
  • 口頭合意「決裁者が紐づいている」:18件中5件(約28%)。5件中4件が同じ担当者で、会った決裁者を登録していなかった。→ ルールは続け、その担当者の登録の習慣を見直す。

例外率だけなら3つ目を緩めたくなりますが、原因はルールではなく1人の入力です。 本来は差し戻すべき申請だったので、承認者の判断もあわせて振り返ります。 1つ目は、条件を直せば7件分の例外が要らなくなる見込みです。

数値は説明のための架空のものです。

例外がゼロのときも安心はできません。ルールが実態に合っている場合もあれば、全員が形だけ満たしている場合もあります。 満たした案件を数件抜き取って値の中身を確かめ、強さや条件の変更は期の初めにまとめて入れます。

よくある失敗:口頭の承認、自己承認、「今回だけ」の恒久化

例外承認は入れた直後より回り始めてから崩れ、原因はたいてい記録の残し方と承認する人の置き方にあります。よくある3つと、その直し方です。

例外承認でよくある失敗と直し方
失敗なぜ起きるか直し方
口頭やチャットで承認し、記録に残さない手早く済ませたく、承認が案件の記録と結びついていない案件とルールに結びついた記録でしか受け付けない。記録に無い例外は月次で数えられず、ルールも直らない
自分の申請を自分で承認する承認できる人が1人しかいない。期末の圧力がいちばん強い担当者やプレイングマネージャーが自分で通す仕組みで押せなくし、承認できる人を2人以上置く。マネージャーの案件は一つ上の責任者が承認する
「今回だけ」が顧客ごとの恒久的な除外に変わる同じ顧客で例外が続き、毎回の申請が手間に見える顧客を外さず、その場面を条件の満たし方として書き足す。外した顧客は、決裁者が替わっても誰も戻さない

自己承認は、承認が無いより悪い記録を残します。後から見た人は「承認済み」を、第三者が確かめた印と受け取るからです。

明日から始めること:禁止のルールを1つ選び、例外の通り道を決める

最初から全部を整えず、禁止にする(または、したい)ルールを1つ選び、例外の通り道と月次の見直しだけを先に決めます。次の5つから始めます。

  • ルールごとに、いまの強さ(停止中・警告・禁止)と、その理由を一覧にした
  • 禁止にするルールを、破られると予測が崩れ、正当な例外を1〜2文で言えるものに絞った
  • 例外は1回限り・1案件・1ルールとし、理由は「満たせない事実・代わりに確かめたこと・満たす見込み」で書くと決めた
  • 自分の申請を自分で承認できない形にし、承認できる人を2人以上置いた
  • 月次の見直しを予定表に押さえ、ルールごとの例外率と理由の偏りを見ると決めた

1か月後に集まった理由が、次に直す条件を教えてくれます。 ステージの条件と例外の承認の画面は、案件管理の紹介で見られます。

よくある質問

営業ルールが形骸化する一番の原因は何ですか?
守れない正当な場面に、正規の逃げ道が無いことです。逃げ道が無いと、担当者は破るか、形だけ満たすか、外してもらうかを選びます。1回限り・1案件・1ルールの例外承認を、記録つきで用意します。
SFA の入力ルールは、必須項目にすれば守られますか?
必須にするだけでは、「未定」や仮の値で埋める入力が増えます。まず警告で習慣にし、値の中身を週次で抜き取って確かめます。判定に使う項目は、空欄ではどの条件も満たさない扱いにします。
例外が多いルールは、廃止すべきですか?
件数だけでは決めません。理由が1つの場面に集中していれば条件に書き足し、特定の担当者に集中していれば進め方を見直します。理由がばらばらで例外率も高いなら、期の初めに警告へ戻して書き直します。