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MEDDICCとは?7要素を「確認済みの事実」で数え、ステージを進める根拠にする方法

MEDDICCとは、B2Bの案件で受注の根拠がそろっているかを、7つの要素で確かめる型です。この記事の基準表と点検例で、欄の数ではなく確認済みの事実から、口頭合意へ進めてよい案件を見分けられるようになります。

RevenueScale 編集部公開 7分で読めます

MEDDICCとは:受注の根拠を確かめる7要素と、MEDDPICCとの違い

MEDDICC とは、B2B の案件で受注の根拠がそろっているかを確かめるための、7つの要素の頭文字です。MEDDIC の6要素に競合(Competition)を加えた形です。書類の手続き(Paper Process)も加えると MEDDPICC と呼びます。

  • Metrics(効果の指標):導入で動かす先方の指標と、現状値・目標値・期限
  • Economic Buyer(決裁者):予算の使い道を最後に決め、否と言える人
  • Decision Criteria(判断基準):何を比べて選ぶか。外せない条件と優先順位
  • Decision Process(決裁の手続き):誰が、どの順で、いつ承認するか
  • Identify Pain(課題の特定):放置すると何が起き、誰が困るか
  • Champion(推進者):先方の社内で、自分の意思で導入を進める人
  • Competition(競合):他社・内製・現状維持と、それぞれへの先方の評価

この記事では、契約書・取引先の登録・発注書の段(Paper Process)は、決裁の手続きに含めて扱います。 予算は独立の要素ではありません。ただ日本では年度予算の枠で発注の時期が決まるので、予算の状況を別の項目で持ちます。

数えるのは「確認済み」の要素だけ

SFA の欄として入れれば、欄は埋まります。 けれど「決裁者:営業本部長」は、本人に確かめた場合も推測の場合も同じ見た目です。そこで要素ごとに、根拠を3段で扱います。

  • 確認済み:先方の当事者から日付と場面つきで聞いた、または先方の資料で見た。ステージを進める根拠に使える
  • 仮説:売り手の推測や伝聞(「たぶん部長決裁です」)。誰に確かめるかを次のアクションに置く
  • 未確認:まだ聞いていない、または聞いても答えが無かった。推測で埋めず、未確認のまま持つ

アポの前後で商談に時間を使うべきかを判定する BANT とは、答える問いが違います。 MEDDICC が答えるのは「この案件は、受注までの根拠がそろっているか」です。

MEDDICCの判断基準:どの要素を、どのステージまでに確認済みにするか

要素は初回の商談から集め始め、決裁者や予算のような重い要素を条件にするのは、コミットに近い口頭合意だけにします。効果の指標の中身や推進者の働きは項目では見分けにくいので、週次の案件レビューで問います。

MEDDICC の要素とステージの対応(例)
進む先のステージ確認済みにする要素確認済みと言える状態移行条件にする事実(例)
アポI(課題の仮説)誰の、どんな課題の仮説で会うのかを、先方と確かめた紐づく人物が1人以上。活動が1件以上
提案済みM・判断基準・競合先方が測る指標の現状値と目標値を記録した。選ぶ基準の優先順位を先方が言葉にした。現状維持を含む比較の相手が分かる金額が入っている。想定クローズ日が今日以降。提案書URLと競合が入力済み
口頭合意E・決裁の手続き・推進者・予算決裁者を手続きの説明で確かめ、本人から導入の意思を聞いた。承認と書類の段・日程を先方と合意した。推進者が社内の情報を渡すか、社内の場を設けた紐づく人物に決裁者がいる。予算が確保済み。決裁の手続きが「不明」以外。最終活動が14日以内

口頭合意の行は、コミットの条件(決裁者の合意・予算・発注の手続き・日付)とそろえてあります。 予算を確保済みに絞るのはこのためで、申請中はベストケースの水準です。 条件の書き方は商談フェーズの移行条件で扱っています。

稟議では、決裁者を人でなく手続きから聞く

稟議では起案・合議・決裁の段が分かれ、1か所で止まれば発注されません。 そこで決裁権の有無ではなく、前回の同じ規模の購買がどう決まったかを聞きます。 聞き方の文例は決裁者の見つけ方で扱っています。

予算は状況に加えて、先方の予算編成の締め日を聞きます。締めを逃すと、発注が1年先へずれることがあります。

点検の例:確認済みが5つあっても、口頭合意へは進めない

要素の点数は合計せず、進む先の条件に当たる要素が1つでも仮説なら、案件はその手前に残します。合計すると、強い要素が弱い要素を隠すからです。

例口頭合意へ進めたい案件を、要素ごとに点検する

担当者が、N社の案件(年720万円)を口頭合意へ進めたいと言ったとします。記録を根拠の段で分けると、次のとおりです。

  • 確認済み(5つ)
    • M:問い合わせの一次回答に2営業日かかる。先方の目標は当日中(部長の資料で確認)
    • 判断基準:既存システムとの連携と、セキュリティの確認
    • I:回答の遅れで、解約の相談が増えている
    • 推進者:課長が社内向けの比較表を自分で作り、共有した
    • 競合:現状維持と他社1つ
  • 仮説:E(課長いわく「たぶん本部長」)、決裁の手続き(「稟議を回します」とだけ聞いた。契約書と取引先登録の段は未確認)
  • 予算:来期に申請する予定で、今期の枠は無い(未確保)

7要素のうち確認済みは5つで、担当者の手応えにも理由があります。 けれど口頭合意の行で確認済みなのは推進者だけです。E と決裁の手続きは仮説で、予算は未確保なので、案件は提案済みに残します。

次のアクションは2つです。課長に前回の同規模の導入がどう決まったかを聞くことと、本部長へ効果の試算を説明する場を相談することです。 来期の予算編成の締め日も、同じ場で聞きます。

数値は説明のための架空のものです。

この点検を続けると、案件レビューの問いが「いけそうか」から「どの要素が、まだ仮説か」に変わります。 担当者の自信の強さではなく、記録の根拠で案件を比べられるようになります。

よくある失敗:推測で欄が埋まる、など3つ

MEDDICC が崩れるのは欄を埋めることが目的になったときで、直すのは定義の文面より会議での聞き方です。

MEDDICC の運用でよくある失敗と直し方
失敗なぜ起きるか直し方
推測で欄が埋まる「分からない」と書くと詰められるので、それらしい値を入れる未確認や「不明」を正しい記録として扱う。週次で「誰から、いつ聞きましたか」と出どころを問う。責めるのは推測を事実のように書いたときだけ
好意的な窓口を推進者と呼ぶ毎回会ってくれる、提案を褒めてくれることを、社内で動いていることと取り違える社内の情報を渡した、社内の場を設けた、という行動の事実で判定する。社内向け資料の回覧のような小さな頼みごとで試す
一度埋めたら更新しない欄は埋まったまま残るので、決裁者の異動や予算の凍結に誰も気づかない口頭合意に入る前と、想定クローズ日の1か月前に確かめ直す。事実が消えていたらステージを戻す

明日から始めること:決裁者・決裁の手続き・予算の3つから記録する

最初から全要素を運用に載せず、口頭合意に関わる3つの要素から、根拠の段を記録する習慣をつくります。次の5つから始めます。

  • 要素ごとに「確認済みと言える状態」を1文で書き、チームに配った
  • 根拠を確認済み・仮説・未確認の3段で扱い、ステージを進める根拠は確認済みだけと決めた
  • 決裁者は、前回の購買と金額の区切りで確かめてから記録すると決めた
  • 新しい移行条件は停止中か警告で始め、定着を見てから禁止へ上げると決めた
  • 月次で失注した案件を並べ、どの要素が仮説のまま進んでいたかを数える場を置いた

役割も分けておきます。根拠の段を記録するのは担当者、出どころを週次で問うのはマネージャーです。 失注の傾向から条件と質問を直すのは、営業責任者か営業企画です。

ステージを進める条件を画面で決める作りは、案件と規律の紹介で見られます。

よくある質問

MEDDIC・MEDDICC・MEDDPICC の違いは何ですか?
MEDDIC に競合(Competition)を足すと MEDDICC です。さらに書類の手続き(Paper Process)を足すと MEDDPICC です。取引先の登録や法務の確認に日数がかかる相手なら、P を分けて持ちます。
BANT と MEDDICC の違いは何ですか?
BANT は商談に時間を使うべきかを短く判定する型、MEDDICC は受注の根拠がそろっているかを点検する型です。アポの引き継ぎでは課題と時期を渡し、提案から先は MEDDICC で根拠を集めます。
MEDDICC の要素を、SFA の必須項目にすべきですか?
すべてを必須にすると、推測の値で埋まりやすくなります。「不明」を選べる項目にしておき、ステージに入る条件で確かめます。条件にするのは、決裁者の有無や予算の状況など、項目で見分けられる事実です。