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The Modelの課題は「境目」にある:分業の断絶を、渡す基準・日付・成果の数え方で防ぐ

The Modelの課題は、分業した部門の中ではなく、IS→FS・受注後・更新という境目で起きます。この記事の設計表と計算例で、境目ごとに渡す基準・日付・成果の帰属を決め、断絶を仕組みで防げるようになります。

RevenueScale 編集部公開 6分で読めます

The Modelの課題とは:分業の断絶は部門の「境目」で起きる

The Model型の分業の課題とは、各部門が自分の数字を達成しているのに、部門と部門の境目で案件や成果が落ちることです。The Model型は、営業の流れを段に分け、段ごとに数字を持たせる組織の型です。 段はマーケティング・インサイドセールス(IS)・フィールドセールス(FS)・カスタマーサクセス(CS)の4つです。

部門の中は、それぞれの責任者が数字で管理しています。 管理されていないのは、案件の持ち主が変わる境目です。 営業の責任者が持つ境目は、次の3つです。

  1. IS→FS:アポを商談として引き継ぐ(トスアップ)。
  2. FS→受注後:受注した顧客を、導入と定着の担当へ引き継ぐ。
  3. 更新:契約の終わりを、次の契約の商談として立て直す。

断絶は、どの境目でも同じ3つの形で起きます。

  • 基準のずれ:渡す側は「渡せる」、受ける側は「まだ早い」と思う。渡してよい状態が文になっていない。
  • 宙に浮く:渡したのに、次に誰がいつ動くかが決まらない。日付と情報が渡っていない。
  • 数え方の食い違い:担当を移すと、渡した人の成果が消える。担当の欄が1つしかない。

しかも境目の率は、どの部門の目標にも入っていません。 受注金額を分解すると、各部門が持つのは式の一部の項だけです。

受注金額 = アポ × 実施率 × 受け入れ率 × 受注率 × 平均単価

ISはアポを、FSは受注率と単価を持つ。まん中の2つの率は境目にあり、誰の目標でもない

実施率はアポのうち商談が行われた割合、受け入れ率(商談化率)はそのうちFSが受け入れて次の打ち合わせを置いた割合です。 直すべきは分業そのものではなく、この2つの率を誰も持っていないことです。

境目ごとの設計表:渡す基準・渡す日付・成果の帰属を決める

境目ごとに「渡す基準・渡す情報・渡す日付・成果の帰属」の4つを決め、案件と契約の同じ記録で持ちます。基準のずれには渡す基準、宙に浮くには情報と日付、数え方の食い違いには成果の帰属が効きます。

3つの境目の設計(例)
境目渡す基準渡す情報渡す日付成果の帰属
IS→FS日時・会う人・目的と、商談だという先方の理解をISが確かめた先方の言葉での課題、時期とその理由。事実と所感を分ける初回商談の日。FSの次のアクションとして置く担当はFS。アポを取った人(IS)を別の欄に残す
FS→受注後契約書か発注書を受け取ったなぜ買ったか・誰が決めたか・何を約束したかと、先方の事情キックオフの日と、最初の成果の期日受注はFS、導入の完了はCS
更新解約通知の期限と予算の時期から逆算した日が来た利用の状況、次期の金額と条件、先方の決裁の手続き先方の手続きから逆算した、条件を提示する日維持した金額と増額を分け、それぞれの担当を先に決める

判定するのは受け取る側なので、受け入れる条件はFS・CS・更新の担当が先に書きます。 渡す側はそれを、渡す時点で確かめられる条件に写します。 最後に営業責任者が決め、基準に満たない引き継ぎは受け取る側が差し戻せる決まりにします。

IS→FSの基準はISが電話で確かめられる事実だけにし、予算や決裁の手続きは入れません。 初回商談の日が無いアポは渡しません。 引き継ぎの項目と文例はトスアップの設計で扱っています。

FS→受注後で落ちるのは、商談の中で先方と交わした約束です。 受注の定義を「書面を受け取った」の1つにそろえ、買った理由・決めた人・約束を書くまで引き継ぎを終えたことにしません。 導入の進め方はSaaSのオンボーディングで扱っています。

計算例:全部門が目標を超えたのに、受注が8割にとどまる

境目の率が落ちると、ISもFSも自分の指標を達成したまま、受注だけが目標に届かなくなります。1節目の式に数字を入れて確かめます。

例アポは目標超え、受注率も計画どおりで、受注は2,400万円

四半期の受注目標を3,000万円とし、前期の実績から実施率90%・受け入れ率60%・受注率30%・平均単価300万円と置きます。 必要な受注10件から各段を切り上げで割り戻すと、受け入れ34件、実施57件、アポ64件です。

  • アポ(IS):計画64件 → 実績72件(目標の約113%)
  • 実施:計画57件(90%) → 実績53件(約74%)
  • 受け入れ:計画34件(60%) → 実績26件(約49%)
  • 受注(FS):計画10件(30%) → 実績8件(約31%)。受注金額は2,400万円で目標の80%

同じ72件のアポで率がすべて計画どおりなら、72 × 90% × 60% × 30% = 約11.7件、金額で約3,500万円でした。 受注率は計画を割っていないので、差の約1,100万円は境目で失った分です。それでも、どの部門の会議でも議題に上がりません。

数値は説明のための架空のものです。

直し方は、各部門の成果を、次の部門が受け入れた時点で数えることです。 渡しただけでは成果にしないので、境目の率が渡す側の目標に入ります。

  • IS:アポの数ではなく、FSが受け入れた商談の数で数える。
  • FS:受注の金額に、期日までに最初の成果が出た受注の割合を並べる。
  • CS:解約の率だけでなく、更新で維持した金額と増額の金額を分けて数える。

よくある失敗:基準を片方で決める、担当の欄が1つ、など3つ

分業の失敗は、境目の基準・記録・見込みのどれかが、片方の部門の中に閉じているときに起きます。よくある3つと、その直し方です。

The Model型の分業でよくある失敗と直し方
失敗なぜ起きるか直し方
境目の基準を、片方の部門だけで決める渡す側は緩く、受ける側は厳しく、自部門の数字を守る方向に線を引く受ける側が書き、渡す側が確かめられる条件に写し、両方の上に立つ責任者が決める
担当の欄が1つしかない担当を移すと渡した人の成果が消えるので、渡すのを遅らせるか、渡した後も手放さない担当と「アポを取った人」を別の欄で持ち、渡すことを損にしない
更新をパイプラインの外で持つ更新がCSの日々の業務に埋もれ、見込みが着地の数字に入らない。解約は決まってから知る解約通知の期限と予算の時期から逆算した日に更新の案件を立て、新規と同じ基準の予測区分で、別の行として読む

更新の案件をいつ誰が立てるか、維持と増額を誰が持つかは、SaaSの更新管理で扱っています。

明日から始めること:断絶のいちばん多い境目から直す

3つの境目を同時に直さず、断絶がいちばん多い境目から、渡す基準・渡す日付・成果の帰属を決めます。次の5つから始めます。

  • 3つの境目と3つの断絶の9マスで、自社で起きているものに印を付けた
  • 印のいちばん多い境目で、渡す基準を受け取る側が1文で書き、営業責任者が決めた
  • 境目ごとに渡す日付を1つ決め、受け取る側の次のアクションとして置いた
  • 案件の担当とアポを取った人を別の欄で持ち、受注の定義を「書面を受け取った」にそろえた
  • 月に1回、各部門の責任者と、実施率・受け入れ率など境目の率だけを見る場を置いた

少人数で1人がISとFSを兼ねる間も、「アポを取った人」と「案件の担当」は別の欄で残します。 後で分業したとき、過去の案件を役割ごとに読めます。 案件化から契約、更新までの流れは機能の紹介で見られます。

よくある質問

The Modelの課題は何ですか?
部門の中ではなく、IS→FS・受注後・更新という境目で起きる断絶です。基準のずれ、渡したのに誰も動かない、成果の数え方の食い違いの3つの形で起き、境目ごとに基準・日付・成果の帰属を決めると防げます。
インサイドセールスとフィールドセールスの連携をよくするには?
渡す基準をFSが書いてISが写す、初回商談の日を必ず決めてFSの次のアクションにする、アポを取った人を担当とは別に残す、の3つです。ISの成果は、FSが受け入れた商談の数で数えます。
営業は何人から分業すべきですか?
人数で決まる線はありません。詰まりと準備の状態で決めます。例えば商談に追われて接触が後回しになっている、導入がFSの時間を食っている、渡す基準を文で書ける、などです。いちばん詰まっている段から分けます。