失注理由の分析とは?選択肢での分類、本当の理由を確かめる質問、理由ごとの打ち手
失注理由の分析とは、理由を選択肢で残し、ステージ別・理由別に数えて打ち手を決めることです。この記事の分類表と質問で、「予算」「時期」の裏を確かめ、失注を次の提案と再アプローチに返せるようになります。
失注理由の分析とは:選択肢で残し、ステージ別・理由別に数えること
失注理由の分析とは、理由を決まった選択肢で残し、ステージ別・理由別に数えて、次の打ち手を決めることです。感想を言い合う振り返りではなく、提案の見直しと再アプローチの時期を決める作業です。
理由を自由記述だけで残すと、数えられません。 同じ事実が「予算不足」「予算なし」「来期予算待ち」と書かれ、集計のたびに人が読み替えることになります。 理由は選択肢で1つ選び、自由記述は背景を伝える補足に回します。
数えるときは、2つの軸を分けて見ます。
- ステージ別:どの段で落ちたか。アポの直後に多ければ案件にする基準の問題、口頭合意の後に多ければ決裁の手続きをつかめていない問題です。
- 理由別:なぜ落ちたか。価格・競合・機能なら提案と商品の問題、時期・優先度なら課題の確かめ方の問題です。
ステージ別は件数ではなく率で比べます。 手前のステージほど案件が多いので、件数では失注も多く見えるからです。
ステージ別の失注率 = そのステージで失注した件数 ÷ そのステージに入った件数
次のステージへ進んだ割合(ステージ転換率)と対にして見る次へ進んだ割合はステージ転換率で、失注率はその裏側から落ちた段を示します。 なお、失注の記録が遅れると受注率も実態より高く出ます。分母の決め方は受注率の計算方法で扱っています。
失注理由の分類の設計:打ち手の違いで束ね、再アプローチの時期を先に決める
失注理由の選択肢は、打ち手が分かれる単位で10個前後に絞り、選択肢ごとに打ち手と再アプローチの時期を先に決めておきます。多すぎると選び分けがぶれ、少なすぎると理由が分かっても打つ手が決まりません。 例えば、「その他」を除く9個を打ち手の違いで4つに束ねます。
| 束 | 選択肢 | 打ち手 | 再アプローチの時期 |
|---|---|---|---|
| お金 | 予算がつかなかった/価格が合わなかった | 値引きの前に、効果を先方の数字で試算できていたかを見直す | 先方の次の予算編成が始まる前 |
| 比較 | 競合に決まった/機能・条件が不足していた | 負けた論点を1つに絞り、提案の型と商品への要望に返す | 先方が選んだ製品の契約更新の前 |
| 優先度 | 時期が合わなかった/社内で優先度が下がった/課題が解消・不要になった | 課題の大きさと期限を、先方の言葉で確かめていたかを見直す | 先方が挙げた再開の時期。聞けなければ次の期初の前 |
| 進め方 | 決裁者に届かなかった/連絡が取れなくなった | 自社の進め方の問題として扱い、どの段で接点が途切れたかを見る | 先方の担当者や体制が変わったと分かったとき |
1件の失注には、理由を1つだけ選びます。 迷ったら「その理由が解消していたら、受注できたか」で選びます。
「その他」には補足を必須にし、月1回読んで、ほかの9個に振り直せないかを確かめます。 例えば「その他」が失注の1割を超えたら、選択肢か選び方のどちらかを見直します。
再アプローチの時期は、失注にしたその日に決めます。 年度で予算を組む先方なら、次の予算編成がいつ始まるかを聞いておくと、「お金」の失注が来期の提案の候補に変わります。
本当の理由を確かめる質問:「予算」「時期」を結果として聞き直す
「予算」「時期」は断りの結果として出てくる言葉なので、記録する前に、その裏の理由を先方へ1回だけ聞き直します。どちらも角を立てずに断れる言葉なので、本当の理由が別にあっても選ばれやすくなります。 聞く相手は、率直に話してくれる推進者が第一候補です。
「予算が付いていたら、今回進めていましたか?」
はいなら、本当に予算の問題です。いいえ、または言葉を濁すなら、価値が伝わっていないか優先度の問題として扱います。「来期に検討するなら、何が変わっている必要がありますか?」
時期の裏にある条件を聞きます。条件が出れば再アプローチの材料になり、出なければ「社内で優先度が下がった」に近い失注です。「最後に判断されたのはどなたで、決め手は何でしたか?」
決裁者まで話が届いていたか、競合との差がどこにあったかが分かります。届いていなければ「決裁者に届かなかった」です。「次に見直されるのはいつ頃ですか。その前にご連絡してもよいですか?」
再アプローチの時期と、連絡してよいという了承を同時にもらいます。競合に決まったときは、契約の期間も聞きます。
聞き方は「今後の提案を良くするために」と前置きし、断りを覆そうとしないことです。 引き止めに聞こえると、先方は無難な理由しか話さなくなります。
聞くのは、失注の連絡を受けた週のうちです。 担当者には言いにくい理由もあるので、金額の大きい案件はマネージャーがお礼を兼ねて聞きます。 決裁者に届かないときの判断は決裁者の見つけ方で扱っています。
よくある失敗:「その他」ばかりで数えられない、など3つ
失注の分析が崩れる原因は、選択肢の数より、記録の仕方と集計の読み方にあります。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「その他」と自由記述ばかりで数えられない | 選択肢が打ち手と結びついておらず、選ぶ意味が担当者に見えない | 選択肢ごとの打ち手を配り、その他には補足を必須にする。月1回、その他を読んで振り直す |
| 理由別の最多から直し、値引きに走る | 件数の多い理由を全体の問題と見なし、どの段で落ちたかを見ていない | ステージ別の失注率で落ちた段を1つに絞り、その段の理由から打ち手を決める |
| 失注した先に二度と連絡しない | 失注を終わりとして扱い、再アプローチの時期を決めずに閉じている | 失注と同時に、次に連絡する時期と、そのとき話す材料を記録する |
再開の時期も条件も聞けない案件を保留に逃がすと、失注の理由が残りません。 保留と失注の線引きは滞留案件の見つけ方と動かし方で扱っています。
明日から始めること:月1回、ステージ別に数えてから理由を読む
分析は月1回、ステージ別の失注率で落ちた段を1つに絞り、その段の理由から打ち手を1つ決めるところまでで十分です。次の例で読み方を確かめます。
例四半期の失注26件を、ステージ別に見てから理由を読む
ある四半期に、アポに入った案件が60件、提案済みが30件、口頭合意が15件でした。失注はそれぞれ12件・12件・2件です。
- アポ:12 ÷ 60 = 20%
- 提案済み:12 ÷ 30 = 40%
- 口頭合意:2 ÷ 15 = 約13%
件数ではアポと提案済みが並びますが、率では提案済みがアポの2倍です。 理由別の最多は「予算がつかなかった」の9件で、そのうち7件が提案済みで落ちていました。
打ち手は値引きではなく、提案の前に予算の出どころと確保の時期を確かめることです。 7件には、先方の予算編成の前に連絡する時期を決めます。
数値は説明のための架空のものです。
- 失注理由の選択肢を10個前後に決め、選択肢ごとに打ち手と再アプローチの時期を1行で書いた
- 1件に理由は1つとし、「その理由が解消していたら受注できたか」で選ぶと決めた
- 「予算」「時期」で失注にする前に、先方へ聞き直す質問を決めた
- 月1回、ステージ別の失注率を出してから理由を読む時間を取った
- 失注と同時に、次に連絡する時期と、そのとき話す材料を記録すると決めた