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受注率とは?計算方法と分母の決め方、件数と金額の違いを計算例で解説

受注率は「受注件数 ÷(受注+失注)」で計算しますが、分母の段階・期間・単位で別の数字になります。この記事で、目的ごとに定義を固め、逆算と予測に使える受注率を出せるようになります。

RevenueScale 編集部公開 6分で読めます

受注率とは?計算式と、同じ実績から別の数字が出る理由

受注率とは、同じ起点から数えた案件のうち受注に至った割合で、受注件数を「結果が出た案件の数」で割って計算します。成約率や勝率と呼ぶ組織もあります。呼び名より、分母の定義で中身が決まります。

受注率 = 受注件数 ÷(受注件数 + 失注件数)

起点のステージに同じ時期に入った案件で数える。進行中と保留は分母に入れない

同じ実績でも、次の3つを変えるだけで受注率は別の数字になります。 「受注率が下がった」と議論する前に、3つがそろっているかを確かめます。

  • 段階:どのステージに入った案件から数えるか。アポから数えれば商談全体の勝ち方、提案済みから数えれば提案の勝ち負けです。
  • 期間:受注した月で数えるか、起点に入った月で束ねるか。前者では分子と分母が別の案件になります。
  • 単位:件数か金額か。大きい案件ほど落ちる組織では、金額の率が件数の率より低く出ます。

ステージごとの次の段への割合はステージ転換率で、受注率はそれを受注まで掛け合わせた結果です。 起点より前の段の割合は商談化率の記事で扱います。

受注率は「過去の結果」、確度は「そこから置く見込み」

受注率は、結果が出た案件から後ろ向きに測る数字です。確度は、その実績をもとに進行中の案件へ前向きに置く見込みです。 確度を先に決めて受注率を見ないままにすると、加重予測が実績から離れていきます。

分母の選び方:目的ごとに起点と単位を1つに固定する

受注率は目的ごとに定義を1つ決め、名前を付けて固定します。1つの数字で逆算も予測も担当者の比較もしようとすると、どれにも合わない数字になります。

目的ごとの受注率の定義
目的分母(起点)単位使い方
必要な商談数の逆算実施した商談(アポ)件数受注件数の目標 ÷ 受注率 = 必要な商談数。単価は受注した案件の平均を組み合わせる
ステージの確度の置き直しそのステージに入った案件金額受注までの累積の割合に合わせる。次の段への割合ではない
提案の勝ち負け(勝率)提案済みに入った案件件数価格・提案内容・競合で負けていないかを見る
担当者の比較実施した商談。リストや流入経路をそろえる件数同じ条件の束どうしで比べる。件数が少ない間は判断しない
予測とカバレッジ期の初めの期内パイプライン金額期内に受注した割合の逆数を、必要な倍率にする

相見積もりになりやすい商材では、提案済みからの勝率を、競合がいた案件だけで別に出します。 価格と提案の強さが、競合のいない案件の勝ちに埋もれずに見えます。

定義は1文で書いて配ります。例えば「商談からの受注率=その四半期に初回の商談をした案件の、受注件数 ÷(受注+失注)」です。

受注日は、口頭の内定ではなく契約書か発注書を受け取った日にします。稟議を挟むと、2つの日は期をまたぐことがあります。

期内受注率から必要な倍率を出す方法は、パイプラインカバレッジの記事で扱います。

計算例:数え方と単位で、同じ実績の受注率が25〜40%に割れる

期間は「同じ時期に起点へ入った案件の束」で数え、件数と金額の両方を並べます。数え方を変えると何が起きるかを、1つのチームの実績で確かめます。

例7〜9月(第3四半期)の実績を、4通りに数える

あるチームの第3四半期は、商談の実施が40件、受注が12件、失注が18件でした。 受注12件のうち8件は、4〜6月に商談した案件です。

  • 今期の受注 ÷ 今期の商談:12 ÷ 40 = 30.0%。分子の3分の2は前の期の商談で、分子と分母が別の案件です。
  • 今期に決着した案件:12 ÷(12 + 18)= 40.0%。失注の記録が遅れると分母から漏れ、高く出ます。
  • 4〜6月に商談した35件の束(9月末時点):受注10件・失注20件・進行中3件・保留2件。10 ÷(10 + 20)= 33.3%。
  • 同じ束を金額で:受注3,000万円・失注9,000万円。3,000 ÷(3,000 + 9,000)= 25.0%。

逆算に使うのは3つ目、確度と予測に使うのは4つ目です。 進行中と保留の5件は分母から外し、件数を率の横に並べます。

数値は説明のための架空のものです。

4〜6月の束には、まだ進行中が3件あります。束の受注率は商談期間を過ぎ、結果がほぼ出そろってから確定値として扱います。 保留が長く残るなら、例えば90日を超えた保留は失注として数え直す、と先に決めておきます。

件数と金額の率が離れたら、大きい案件で負けている

件数の33.3%に対して、金額は25.0%です。受注の平均は300万円、失注の平均は450万円で、大きい案件ほど落ちています。 このとき打つ手は、商談を増やすことではなく、大型案件の見極めと進め方の点検です。

件数の率は平均受注金額と組み合わせ、金額の率は商談1件あたりの平均金額と組み合わせます。 組み合わせを崩すと、同じ実績から違う必要数が出ます。

受注率を上げる前に見ること:率だけ良く見える3つの失敗

受注率を上げる施策の前に、受注の件数と金額、失注の理由、保留の件数を同じ表で見ます。率は分母を削るだけでも上がり、そのとき受注そのものは増えていないからです。

受注率でよくある失敗と直し方
失敗なぜ起きるか直し方
案件にする基準を厳しくして、率を上げる分母が減れば率は上がる。取れたはずの案件が登録されず、受注件数が減る率は受注件数・受注金額と並べて評価する。案件にする基準は緩く保ち、ステージを進める条件で絞る
失注にせず、保留や放置で残す失注を付けなければ分母に入らない。期末に失注がまとめて出る保留の件数を率の横に出す。止まった案件は期日を決め、受注か失注に決着させる
率だけを追い、失注の中身を見ないどの段で、なぜ負けたかが分からない。施策が「もっと頑張る」になる失注をステージと理由で分けて数え、多い順に1つずつ手を打つ

失注の理由の分け方と読み方は、失注分析の記事で扱います。 率を動かす前に、負けている段と理由を1つに絞ります。

受注率は、受注金額を決める3つの数字の1つ

受注金額 = 商談数 × 受注率 × 平均受注金額

件数の受注率には、受注した案件の平均金額を組み合わせる

率を上げる施策で商談数や単価が下がれば、受注金額は増えません。 3つを同じ表に並べ、率だけが動いたときは、分母が変わっていないかを先に疑います。

明日から始めること:受注率の定義を1枚にまとめる

まず目的ごとの定義を1枚に書き、直近の結果が出た束で計算し直します。定義を変えた日より前の数字とは、比べないようにします。

  • 逆算・確度・勝率・担当者の比較・予測のそれぞれに、起点のステージと単位を1文で書いた
  • 「受注」は契約書か発注書を受け取った日、「失注」は失注の理由を選んだ日と決めた
  • 起点に入った四半期で束ね、商談期間を過ぎて結果が出そろってから確定値にすると決めた
  • 件数の率と金額の率を並べ、差が大きいときは大きい案件の失注を1件ずつ見た
  • 進行中と保留の件数を、率の横に必ず出すようにした

計算は、四半期の初めに営業企画(RevOps)が前の束で行い、営業責任者は定義を変えるかだけを決めます。 担当者ごとの比較は、束の件数が足りる四半期単位にとどめ、月ごとの上下では評価しません。

ステージと失注の理由を画面でどう残すかは、案件管理の機能紹介で見られます。

よくある質問

受注率と成約率、勝率の違いは?
どれも受注した割合を指す呼び名で、決まった違いはありません。違いを生むのは分母です。例えば提案まで進んだ案件の勝ち負けだけを勝率と呼ぶなど、起点のステージと単位を社内で1文に決めて使い分けます。
受注率の目安は何%ですか?
一律の目安はありません。起点のステージ・期間・単位で数字が変わるため、他社の数字とは比べられません。自社の直近4四半期ほどの、結果が出た案件の束から出し、同じ定義の過去と比べます。
受注率を上げるには、何から始めますか?
施策の前に、失注をステージと理由で分けて数えます。どの段でなぜ負けたかが分かれば、打つ手が絞れます。案件にする基準を厳しくして分母を削る方法は、率が上がっても受注が減るので避けます。