商談化率とは?分母で変わる計算式と、ISとFSで定義をそろえて上げる方法
商談化率は「FSが受け入れた商談 ÷ 実施した初回商談」で計算し、分母をアポにするか実施にするかで別の数字になります。この記事の表と計算例で、ISとFSが同じ定義で測り、上げる打ち手を選べるようになります。
商談化率とは:受け入れた商談 ÷ 実施した初回商談で計算する
商談化率とは、実施した初回商談のうち、FSが受け入れて次の打ち合わせの日を置いた商談の割合のことです。アポを取るインサイドセールス(IS)と、商談するフィールドセールス(FS)の受け渡しの段を測ります。
商談化率 = 受け入れた商談 ÷ 実施した初回商談
分子の「受け入れた商談」を、この記事では有効商談とも呼ぶ受け渡しの前後には、次の3つの出来事があります。
- アポ獲得(IS):先方が商談の日時を承諾した。
- 実施(FS):その初回商談が行われた。日程を変えて行われた分も含む。
- 受け入れ(有効商談)(FS):初回商談で受け入れ条件を確かめ、次の打ち合わせの日を置いた。
「商談化」がどの出来事を指すかで、同じ記録から別の率が出ます。 アポ獲得を商談化と呼べば質を問わない数字になり、実施で呼べば会っただけで数に入ります。 だから分子は受け入れに固定し、分母だけを目的に合わせて選びます。
受け渡しより前の段、つまり話せた相手からアポが取れた割合は、アポ率として別に数えます。
分母の選び方:目的ごとに1つに決め、ISとFSで同じ定義を使う
分母は「どの段を直すための数字か」で選び、選んだ定義はISとFSで1つにそろえます。分子は、どの分母でも同じ受け入れた商談です。
| 分母 | 式 | 分かること | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 実施した初回商談(基本) | 受け入れ ÷ 実施 | アポの質と、渡す基準が合っているか | ISとFSの基準の点検 |
| 獲得したアポ | 受け入れ ÷ アポ(= 実施率 × 実施起点の商談化率) | 日程の置き方とアポの質を通した歩留まり | 有効商談の目標から必要なアポ数を逆算する |
| リード(問い合わせ・資料請求など) | 受け入れ ÷ リード | マーケティングから営業までの通し率 | マーケティングとの目標の合意 |
名前は同じ「商談化率」でも、分母が違えば別の指標です。 報告では分母を必ず添えて、「実施起点の商談化率」「アポ起点の商談化率」と呼び分けます。
ISとFSで定義を合わせる理由
商談化率は、ISの行為(アポ獲得)とFSの判定(受け入れ)の境目を測る数字です。 片方だけで定義を決めると、もう片方はその数字を自分の成果として受け取りません。 ISが「実施 ÷ アポ」を、FSが「受け入れ ÷ 実施」を商談化率と呼べば、同じ月の報告と実感がずれます。
だから定義は、トスアップの基準と同じ場で決めます。 ISの渡す条件が分母の中身を、FSの受け入れ条件が分子の中身を決めるからです。 IS責任者とFSのマネージャーが1文ずつの定義に合意し、変えるのは月の区切りだけにします。
数える期間もそろえます。分子と分母は、アポを取った月でまとめた同じアポの集まりで割ります。 基準の書き方はトスアップの引き継ぎ設計で扱っています。
計算例:同じアポ40件が、定義しだいで35%にも70%にもなる
段ごとに分けて計算すると、同じ記録から出る数字の違いが見え、上げる打ち手が1つに絞れます。1か月分の記録で確かめます。
例アポ40件を、実施と受け入れに分けて読む
あるチームの1か月で、アポが40件、そのうち実施が28件、FSの受け入れが14件だったとします。
- 実施 ÷ アポ = 28 ÷ 40 = 70%(これを商談化率と呼ぶ人もいる)
- 受け入れ ÷ 実施 = 14 ÷ 28 = 50%(実施起点の商談化率)
- 受け入れ ÷ アポ = 14 ÷ 40 = 35%(アポ起点の商談化率。70% × 50% と一致する)
実施の内訳を見ると、日時を確定して渡した30件は27件(90%)が実施されました。 「来週どこかで」のまま渡した10件は、1件(10%)しか実施されていません。
仮に40件すべてを日時の確定後に渡し、90%が実施されたとします。 実施は36件になり、実施起点の商談化率が同じ50%なら、受け入れは18件です。 アポ起点の商談化率は35%から45%になり、アポを増やさずに有効商談が4件増えます。
数値は説明のための架空のものです。
打ち手1:日程を確定してから渡す
実施率が低いなら、アポ獲得の電話で日時と会う人まで決め切ります。 商談の日はFSの次のアクションとして置き、前日にFSから確認の連絡を入れます。 初回商談の終わりに次の打ち合わせの日を決めることも日程の確定で、受け入れの条件そのものです。
打ち手2:渡す条件を、電話で確かめられる事実で書き直す
実施起点の商談化率が低いなら、FSが受け入れなかった理由を集計し、偏った理由を渡す条件に反映します。 例えば「情報交換のつもりだった」が多ければ、導入の検討のための打ち合わせだと先方が理解しているかを、電話の最後に確かめます。 予算や決裁の手続きは電話では確かめられないので、渡す条件には入れません。
よくある失敗:ISとFSで商談化率の数字が合わない、など3つ
商談化率でつまずく原因は、率の低さより、数え方がそろっていないことにあります。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| ISとFSで商談化率の数字が合わない | 同じ名前で、ISは実施 ÷ アポ、FSは受け入れ ÷ 実施を使っている | 分子と分母を1文ずつ定義し、トスアップの基準と一緒に双方の責任者が合意する |
| 月ごとに率が大きく揺れ、100%を超える月もある | 今月の受け入れを今月の実施で割り、前の月のアポが分子に混ざる | アポを取った月でそろえて割る。判定待ちが残る月は、確定してから出す |
| 率を上げようとして、アポが減る | 予算や決裁など、ISが電話で確かめられない事実を渡す条件に入れた | 渡す条件は電話で確かめられる事実に絞り、予算と決裁はステージを進める条件で確かめる |
率だけをISの評価に入れると、アポを絞るほど有利になります。 評価の置き方はインサイドセールスのKPI設計で扱っています。
明日から始めること:定義を1文で書き、同じ定義で4週間測る
最初は率を上げるより、定義を1文で書いて合意し、同じ定義で4週間測ることを優先します。次の5つから始めます。
- 「商談化」は受け入れ(初回商談で受け入れ条件を確かめ、次の打ち合わせの日を置いた)を指す、と1文で書いて配った
- 報告する商談化率には分母(実施・アポ・リード)を添え、呼び分けると決めた
- FSが初回商談の翌営業日までに受け入れを判定し、受け入れないときは理由を選択肢から選ぶと決めた
- 日時の決まっていないアポは渡さない、とISとFSで合意した
- アポを取った月でそろえて、実施率と実施起点の商談化率を別々に出す表を作った
4週間測ったら、実施率と商談化率のどちらが弱いかを見て、打ち手を1つだけ選びます。 受け入れたあとの段は受注率の計算方法で扱っています。 アポの記録から案件化とトスアップまでの流れは、営業リストの紹介で見られます。