滞留案件とは?記録から見つけ、止まった理由ごとに動かす方法
滞留案件とは、ステージごとに決めた日数を超えた案件と、次のアクションが期限切れか未設定の案件のことです。この記事の判定式と理由の表で、止まった案件を見つけ、再始動か失注かを週次で決められるようになります。
滞留案件とは:ステージの日数と次のアクションの期限で判定する
滞留案件とは、いまのステージにいる日数が決めた線を超えた案件か、次のアクションが期限切れか未設定の案件のことです。停滞案件、放置案件とも呼ばれます。 感覚で探しても、担当者はどの案件にも止まっている事情を説明できるので、見つかりません。
滞留 = 滞留日数が線を超えた または 次のアクションが期限切れ または 次のアクションが無い
最終活動からの日数は判定に使わず、止まった理由を読む材料にする最終活動を判定から外すのは、こちらからの一方通行の追いメールでも日付が新しくなるからです。 逆にステージの日数だけでは、提案の翌日から誰も連絡していない案件が、線を超えるまで見えません。 次のアクションに期限があれば、手付かずの案件はいずれ期限切れで引っかかります。
線を運用に載せる2つの約束
- 線はステージごとに引く:自社で受注した案件が、そのステージにいた日数から置きます。 終盤ほど短くしますが、先方の稟議が月1回なら、その周期より短い線は正常な案件まで拾います。 線と確度を置き直す時期は、パイプライン管理の指標で扱っています。
- 次のアクションは案件ごとに1つ、期限に上限を置く:遠い期限を置けば、期限切れの判定から逃げられるからです。 書き方と上限の決め方はネクストアクションの決め方で扱っています。
案件が止まる3つの理由:記録のサインで見分け、最初の一手を変える
滞留は結果なので、止まった理由を3つのどれかに分けてから打ち手を決めます。同じ「41日止まっている」でも、理由が違えば効く一手はまったく違います。
| 止まる理由 | 記録に出るサイン | 確かめる問い | 最初の一手 |
|---|---|---|---|
| 買い手の優先度が下がった | 先方の返信の間隔が延びる。日程変更が続く。決裁者が場に出なくなる | 先方が最後に自分から動いたのはいつか | 何が優先されたかと、再開を判断する時期を先方に聞く |
| 次の一手が決まっていない | 次のアクションが無いか「フォロー」「検討待ち」。会話はあるが、ステージが進まない | 発注までに残っている手続きを、順に言えるか | 発注までの手続き・先方の担当・日付を、先方と1枚に書き出す |
| 担当者が避けている | 同じ中身の期限が2回以上動く。中身が社内の作業になる。活動がメールだけになる | 先方にいちばん聞きたくないことは何か | その問いを1つに絞り、聞く場を日付つきで置く。必要ならマネージャーが同席する |
見分けるときは、次のアクションの中身、先方の反応の変化、期限の動き方の順に見ます。 いちばん直しやすい「次の一手の欠如」から疑うと、早く片づきます。 分からなければ推測で決めず、先方に状況を確かめる連絡を、日付つきで次のアクションに置きます。
どの理由でも、再始動の連絡には先方が返事をする理由を持たせます。 「その後いかがでしょうか」は、返事をしなくても誰も困らない連絡で、止まった案件をさらに止めます。 検討を一度閉じる選択肢をこちらから差し出すと、断りやすくなった先方が本当の状況を話します。
例:4件から滞留を判定し、予測に効く順に手を付ける
判定式を当てると、最終活動が新しい案件も滞留に入り、手を付ける順番は予測区分で決まります。今日を9月25日として、4件を判定します。
例4件のうち、どれが滞留か(今日は9月25日)
- A社(提案済み・線30日)→ 滞留ではない:ステージに入って12日。3日前に先方と打ち合わせ、次のアクションは「10/2 推進者と稟議の書類を確認」。
- B社(提案済み・線30日)→ 滞留(線を11日超過):ステージに入って41日。最終活動は2日前だが、こちらからの追いメールで、返事は無い。
- C社(アポ・線21日)→ 滞留(次のアクションが無い):ステージに入って9日。初回の商談の後、次の一手が置かれていない。
- D社(口頭合意・線14日)→ 滞留(期限切れ5日):ステージに入って10日で線の内側。ただし「9/20 発注書の送付を依頼」の期限を過ぎている。
手を付ける順番は、予測への効きで決めます。コミットに入る口頭合意のD社、ベストケースの提案済みのB社、パイプラインのアポのC社の順です。
D社は、発注の手続きのどこで止まったかを今日中に推進者に確かめます。 B社は優先度の低下を疑い、再開を判断する時期を聞きます。 C社は次の一手の欠如なので、初回の商談で聞いた課題をもとに、次に会う相手と日付を置きます。
数値は説明のための架空のものです。
動かない案件は、先方と約束した次の接点の有無で閉じる
再始動を試みても動かない案件は閉じます。 軸は、先方と日付を約束した次の接点があるかです。こちらが一方的に予定している連絡は、接点に数えません。
- 進行中のまま:先方と日付を約束した次の接点がある。
- 保留:先方が検討を止めたが、再開の時期か条件を先方から聞けた。確かめる日を決めておく。
- 失注:他社に決めた、導入しないと決めた、または再開の時期も条件も聞けない。
反応が無い案件の線も先に決めます。例えば「3つの手段で計3回連絡し、3週間反応が無ければ失注」です。 失注の理由を次の提案に返す方法は、失注理由の分析で扱っています。
よくある失敗:線を超えたら機械的に失注にする、など3つ
滞留の管理は、定義の文面よりも、一覧の扱い方と失注の決め方で崩れます。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 線を超えたら、機械的に失注にする | 一覧を空にすることが目的になり、先方の手続きの周期を見ていない | 線は見に行く合図として扱う。閉じるかは、先方と約束した次の接点の有無で決める |
| 追いメールの数で「動いている」と判断する | 最終活動は、こちらからの一方通行の連絡でも新しくなる | 先方からの反応があったか、ステージか次のアクションが進んだかで判断する |
| 滞留を責め、保留と失注の先送りが積み上がる | 責められると、担当者は滞留を「消す」方向に動き、保留や遠い期限へ逃がす | 一覧は手伝う順番として扱う。保留は再開の時期か条件が聞けたものだけにし、早く失注を出した人を評価する |
明日から始めること:全案件の次のアクションを棚卸しする
仕組みを入れる前に、進行中の全案件に次のアクションが1つ、日付つきで入っているかを一度さらいます。無い案件は担当者が3日以内に置き、置けない案件は止まる理由の分類から始めます。 棚卸しでパイプラインの金額が下がったら、その分は受注の見込みが無かった金額です。
- 滞留の定義(線を超えた・期限切れ・次のアクションなし)を1文で書き、チームに配った
- ステージごとの線を、受注した案件がそのステージにいた日数から置いた
- 次のアクションは案件ごとに1つ、先方が関わる一手を、上限つきの期限で置くと決めた
- 週次で滞留を1件ずつ3つの理由に分け、最初の一手を日付つきで案件に入れている
- 反応が無い案件を失注にする線(手段・回数・期間)と、保留に入れる条件を決めた
週次の見直しでは、担当者ごとの滞留を、件数ではなく進行中の案件に対する比率で比べます。 案件を多く持つ人ほど、件数は多く出るからです。 期限切れの比率は自分で置いた約束を守れていない割合なので、高い人から1on1で1件ずつ見ます。
滞留の一覧と次のアクションを1つの画面で回す流れは、案件管理の紹介で見られます。