営業リストの作り方:ターゲットの定義から始め、照合・優先順位・振り返りまでを手順で決める
営業リストの作り方は、集める前に「どの業種・規模の、どんな課題を持つ会社か」というターゲットの定義を1文で書くことから始めます。この記事の手順と表で、列の決め方から照合、優先順位、結果での振り返りまでを組めます。
営業リストの作り方とは:集める前に、ターゲットの定義を1文で書くこと
営業リストの作り方とは、ターゲットの定義を決め、その条件に合う会社を集め、照合と優先順位付けを済ませてから配るまでの手順のことです。営業リストは、主にインサイドセールスが電話やメールで当たる会社の束です。 出来は件数では決まらず、1社ごとに「なぜこの会社に連絡するのか」を言えるかで決まります。
ターゲットの定義 = 業種 + 規模 + 課題の仮説
課題の仮説は「この業種・規模なら、〜に困っているはず」の形で書く- 業種:自社の商材が効く業界。同じ業界でも、事業の形で課題が変わるなら分けます。
- 規模:従業員数や拠点の数など、課題が生まれる大きさ。規模が変わると、決める人と決め方も変わります。
- 課題の仮説:その業種・規模なら起きていそうな困りごと。電話の最初の一言になります。
業種と規模だけのリストでは、誰に何を話すかが決まりません。 例えば「従業員50〜300人の人材紹介会社。営業の人数が増え、案件の管理が表計算では追いつかなくなっているはず」と書きます。 こう書けば、最初の一言と、外れたときに直す場所が決まります。
仮説は外れてかまいません。 リストは仮説を確かめる道具で、結果を見て書き直します。 1本のリストには1つの定義だけを持たせ、定義が2つあるなら2本に分けます。
リストに持つ列の決め方:会社を特定する列・判定に使う列・出どころの列に絞る
リストの列は、会社を特定する列、ターゲットの判定と優先順位に使う列、出どころの列の3種類に絞ります。結果や架電の回数は列に持たず、アプローチの履歴として別に残します。 台帳と履歴を分ける作りは、営業リストの管理で扱っています。
| 列 | 何に使うか | 入れ方の注意 |
|---|---|---|
| 会社名・サイトのURL | 会社を特定し、重複を照合する鍵 | URLはドメインでそろえる。会社名だけでは、同じ名前の別会社を見分けられない |
| 業種・従業員数・設立年・所在地 | ターゲットの条件に合うかの判定と、優先順位 | 人が確かめた値と、サイトから読み取った推定の値を分けて持つ |
| 代表電話・問い合わせ窓口 | 最初の連絡の手段 | 会社の窓口に限る。個人の連絡先は、名刺交換など本人との接点で得たものだけ |
| 課題の仮説の根拠 | 優先順位と、最初の一言 | 会社の公開情報から、例えば「営業職を募集している」のような事実を1つ |
| 出どころと取得日 | どこから来た会社がアポに届いたかの振り返り | 行ごとに残す。取り込んだ後からは分からない |
列を足したくなったら、「この列が空なら、優先順位か最初の一言が変わるか」で選びます。 変わらない列は、集める手間だけがかかって使われません。
リストを作る手順:集める・照合する・優先順位を付ける・期間を決めて配る
リストは、定義に合う会社を集め、連絡の前に重複とアプローチ禁止を照合し、優先順位と期間を付けてから配ります。照合を後に回すと、その間に同じ会社へ2人が連絡します。
出どころを選んで集める
出どころは、自社の過去の接点(問い合わせ・名刺交換・失注や休眠の顧客)、展示会やセミナー、購入した企業リスト、業界団体の会員一覧や企業のサイトなど公開された会社の情報です。過去の接点は経緯を読める分、先に当たります。重複とアプローチ禁止を照合する
社内の台帳と照合し、既存の顧客や進行中の案件がある会社は外すか、前回の経緯を読んでから当たる印を付けます。「連絡しないで」と言われた相手は必ず外します。運用はアプローチ禁止リストの作り方で扱っています。優先順位を3段に分ける
定義の中心に当てはまり、課題の仮説に根拠の事実がある会社をA、条件には合うが根拠が無い会社をB、条件の端にある会社をCにします。Aから当たると、仮説が合っているかを早く確かめられます。期間と見切りの線を決めて配る
例えば「4週間、曜日と時間帯を変えて3回かけ、話せなければ終了」と決め、リストの名前に切り口と期間を入れます。終わりの無いリストは振り返れません。
優先順位の根拠は、会社の事実で書きます。 「感触が良さそう」のような印象で付けたAは、振り返りで仮説を確かめる材料になりません。
よくある失敗:件数を目的にする、照合を後に回す、など3つ
リストづくりの失敗は、集め方の技術より、定義と照合の順番が決まっていないことから起きます。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 件数を集めること自体が目的になる | 「1,000社のリスト」のように件数で頼むので、条件の端の会社まで入る。話す内容が決まらず、アポにつながらない | 件数ではなく定義で頼む。条件に合う会社が足りなければ、定義を広げるかを決めてから足す |
| 照合を架電の後に回す | 早くかけ始めたいので、重複と禁止の確認を後回しにする。既存の顧客や禁止の相手に連絡してしまう | 配る前に台帳と禁止の一覧に照合し、終わるまで配らない |
| どの出どころの会社がアポに届いたか分からない | 出どころと取得日を列に残さず、複数のリストを1つに混ぜる | 行ごとに出どころを残し、リストを期間で閉じて切り口ごとに結果を並べる |
1つ目は、頼む側が件数しか言えないときに起きます。 リストを頼むときは、定義の1文と期間、1人が期間内に当たれる社数をそろえて渡します。
明日から始めること:リストを期間で閉じ、アポに届いた切り口で定義を直す
リストは期間が来たら閉じ、切り口ごとに架電・話せた・アポを並べて、次のリストの定義を書き直します。仮説のどこが合っていたかは、閉じて並べるまで分かりません。
例4週間のリストを、規模で3つに分けて振り返る
「人材紹介会社・従業員50〜300人」のリスト300社を4週間で閉じ、規模で3つに分けたとします。
- 50〜99人(120社):架電240本 → 話せた36件(15%)→ アポ3件(約8%)
- 100〜199人(110社):架電220本 → 話せた33件(15%)→ アポ7件(約21%)
- 200〜300人(70社):架電140本 → 話せた14件(10%)→ アポ1件(約7%)
50〜99人と100〜199人は話せる率が同じなのに、アポ率は100〜199人が高く出ています。 次のリストは100〜199人を中心にし、課題の仮説もこの規模に合わせて書き直します。 ただし件数が少ないので、次のリストでも同じ差が出るかを確かめてから定義を固めます。
数値は説明のための架空のものです。
話せる率が低い切り口は番号や時間帯を、アポ率が低い切り口は課題の仮説を疑います。 ISの週次の振り返りに組み込む進め方は、インサイドセールスの立ち上げ方で扱っています。
- ターゲットの定義を業種・規模・課題の仮説の1文で書き、リストの名前に切り口と期間を入れた
- 列を、会社を特定する列・判定に使う列・出どころの列に絞った
- 配る前に、台帳との重複とアプローチ禁止を照合すると決めた
- リストを閉じたら、切り口と出どころごとに架電・話せた・アポを並べると決めた
取り込みからアプローチの記録、案件化までの流れは、営業リストの紹介で見られます。