アプローチ禁止リストとは?「連絡しないで」を受けた時点で全員に効かせ、解除には理由を残す運用
アプローチ禁止リストは、「今後は連絡しないで」と言われた相手を組織の1か所に登録し、受けた時点から全員の連絡を止める仕組みです。この記事の決まりの表と照合の例で、登録と解除の運用を1枚に書けます。
アプローチ禁止リストとは:「連絡しないで」を組織の1か所で止める仕組み
アプローチ禁止リストとは、「今後は連絡しないで」と申し出た相手を組織の1か所に登録し、全員の連絡を止める一覧のことです。テレアポの禁止リスト、お断りリスト、英語では do-not-contact(DNC)リストとも呼ばれます。 最初に決めるのは、どの言葉を禁止として受け取るかです。
断りと禁止を、先方の言葉で分ける
- 断り:「今は不要」「来期なら」。理由に応じた時期を置けば、再アプローチしてよい相手。
- 禁止:「今後は連絡しないで」。解除の理由が生まれるまで、誰も連絡しない相手。
分ける基準は、担当者の印象ではなく先方の言葉です。 感触が悪かっただけの相手を禁止に入れると、リストが痩せ、禁止そのものが軽く扱われます。 断りの記録の持ち方は営業リストの管理で扱っています。
管理する理由は、信頼と効率の2つ
禁止の相手への連絡は、相手の時間を奪うだけでなく、「言ったことが社内で伝わらない会社」という印象を残します。 1本の電話で、その会社との将来の商談も、紹介の経路も閉じかねません。 効率の面でも、連絡しないでと言った相手への架電は、会話にもアポにもなりません。
つまり管理の目的は、止めるべき相手を確実に止め、止めなくてよい相手を止めないことです。 件数を増やすことでも減らすことでもありません。
登録と解除のルール:登録は受けた人がその場で、解除は理由を残して
登録は申し出を受けた本人がその場で行い、解除は限られた人が事実と理由を残して行う、という非対称の決まりにします。登録を重くすると入れ忘れが起き、解除を軽くすると禁止が形だけになるからです。 決めることは次の5つです。
| 決めること | ルール | 理由 |
|---|---|---|
| 誰が登録するか | IS・FSを問わず、申し出を受けた本人。上長の承認を待たない | 承認を待つ間に、別の人が連絡してしまう |
| いつ登録するか | 受けたその場。通話を切った直後、メールを読んだ時点で入れる | 「夕方にまとめて」の間にも架電は続く |
| 何を単位にするか | 申し出の範囲に合わせる。会社として→企業、本人として→その人と連絡先、電話だけ→電話番号 | 範囲より広く止めると、連絡してよい部署まで失う |
| 何を残すか | 申し出の日・手段・受けた人・先方の言葉どおりの内容 | 要約すると、後から断りか禁止かを判断できない |
| 誰が・何を理由に解除するか | 管理者かマネージャー。先方からの撤回か誤登録のときだけ、理由を書いて外す | 「時間が経った」で外すと、申し出の記録が意味を失う |
分業していると、申し出を受けるのはリストを持つ IS だけではありません。 失注した商談の最後に、FS が「今後の営業は不要」と言われることもあります。 登録できる人を IS に限ると、その申し出は次に電話する IS に届きません。
部門の境目で情報が落ちる話は、The Modelの課題と対策で扱っています。
禁止には期限を付けて自動で外さないことも決めておきます。 見直すなら、人が1件ずつ見て、外す理由を書けたものだけを外します。
リストが複数あるときの漏れの防ぎ方:取り込み時と連絡の直前に2回照合する
複数のリストでの漏れは、取り込みのときの照合と、連絡を記録する直前の照合の2回で防ぎます。リストは購入リスト・展示会の名刺・休眠企業の掘り起こしなど、目的ごとに増えます。 禁止をリストの中の列で持つと、新しいリストには引き継がれません。
だから禁止はリストの外に1つだけ置き、すべてのリストがそこを参照します。 写しを配ると、写した後の登録が届きません。
例1,000行の購入リストと、取り込み後に増えた禁止
禁止の登録が40件あるチームが、購入リスト1,000行を取り込むとします。
- 会社名で照合:一致は8行。
- 台帳の企業に紐づけてから照合:11行。「株式会社」と「(株)」の表記の揺れで、3行を取り逃していた。
- 電話番号とメールアドレスでも照合:2行が加わり13行。部署の直通番号で禁止を登録していた相手だった。
会社名だけの照合では、13行のうち5行が残っていました。取り込むのは1,000−13=987行です。
取り込みの翌週、FS が失注した2社から「今後の営業は不要」と言われ、禁止に登録しました。 2社とも987行の中にいます。取り込み時の照合だけなら、この2社は IS の架電の対象に残ります。
数値は説明のための架空のものです。
2回目の照合を人の注意に任せると、忙しい日から抜けます。 表計算で回すなら、各リストに禁止の一覧を引く列を置き、架電の前にその列を見る決まりにします。 メールの配信を別の道具で行っているなら、配信停止の一覧も同じ1か所に集めます。
よくある失敗:禁止が担当者のメモに残る、など3つ
禁止の運用が崩れる原因は、道具の有無より、登録の場所と解除の基準が決まっていないことです。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 禁止が担当者のメモや個人のリストに残る | 登録の場所が決まっておらず、受けた人の手元で止まる | 置き場所を組織で1か所に決め、個人のメモに書いた禁止はその日のうちに移す |
| 「今は不要」まで禁止に入れる | 気まずい断りのたびに禁止にし、言葉ではなく印象で分けている | 「今後は連絡しないで」の言葉があったものだけを禁止にし、先方の言葉を記録に残す |
| 理由を書かずに解除する | 新しいリストの対象を増やしたいときに、解除の基準が無い | 解除は撤回か誤登録の事実があるときだけにし、解除の一覧を四半期ごとに点検する |
点検するのは、禁止の件数ではなく解除の一覧です。 外した日・外した人・理由を並べ、理由が事実で書けているかを見ます。
例えば「先方から問い合わせ(日付と経路)」「誤登録(何を取り違えたか)」の形です。 書けていないものは、登録を戻して、外した人に確かめます。
明日から始めること:散らばった禁止を1か所に集め、決まりを1枚に書く
最初にやるのは、散らばった禁止を1か所に集め、登録と解除の決まりを1枚に書いて配ることです。次の5つを確かめます。
- 担当者のメモ・各リストの列・メールの配信停止の一覧に散らばった禁止を、1か所に集めた
- 「今後は連絡しないで」は禁止、「今は不要」は断り、という言葉の基準を配った
- 申し出を受けた人がその場で登録し、日付・手段・先方の言葉を残すと決めた
- 取り込みの時点と、連絡を記録する時点の2回、禁止と照合する作りにした
- 解除できる人と認める理由を決め、四半期ごとに解除の一覧を点検すると決めた
集めるときに、同じ相手が企業名と電話番号の両方で入っていても、消さずにそのまま残します。 重なりを整理するより、1件でも漏らさないことを先にします。 仕組みで照合できるようになれば、禁止の管理をSFAの記録の中で回せます。