SFAの選び方:機能の数ではなく「営業の型」に合うかで比べる7つの観点と、デモで確かめる質問
SFAは機能の数ではなく、自社の営業の型(予測・ステージの規律・分業・受注後)を毎日の入力で回せるかで選びます。この記事の7つの観点とデモの質問で、比較表の○×では見えない違いを確かめられます。
SFAの選び方とは:機能の数ではなく、自社の営業の型に合うかで選ぶ
SFAの選び方とは、機能の数ではなく、自社の営業の型を担当者の毎日の入力で回せるかで製品を選ぶことです。SFA(営業支援システム。営業管理ツールとも呼ばれます)は、案件と営業活動を記録し、進め方と予測をそろえる道具です。
比較表の○×は、その機能が「あるか」にしか答えません。主要な行にはどの候補にも○が並びがちで、差は「どう動くか」に出ます。
売る側に立つとき、顧客には機能表ではなく課題で比べてもらうはずです。買う側に回っても同じ基準で選びます。
ここでいう営業の型は、次の4つです。選定を始める前に、それぞれを自社の言葉で1枚に書きます。
- 予測:案件をどの区分に入れ、四半期の着地会議で何を約束するか。コミットと呼ぶ条件は何か。
- ステージの規律:どの事実がそろえば次のステージへ進めるか。決裁に関わる人が複数いる商談で、誰の合意を条件にするか。守れないとき、誰が例外を認めるか。
- 分業:アポを取る人(IS)と商談する人(FS)が分かれているか。引き継ぎで何を渡し、アポを取った人の成果をどう数えるか。
- 受注後:契約・導入・更新を、誰がどこで追うか。更新を、新規と同じく商談として扱うか。
この1枚が、そのまま比較の物差しとデモの台本になります。書けない項目があれば、選定より先に型を決めます。
型が無いまま選ぶと、設定の自由度が高い製品ほど、以前の表計算をそのまま写すことになるからです。 予測の組み立ては営業フォーキャストの立て方で扱っています。
SFA選定で見る7つの観点:営業の型に合うかの4つと、使い続けられるかの3つ
観点は7つで、営業の型に合うかの4つと、使い続けられるかの3つに分けて確かめます。型の4つは、機能の有無ではなく「合わないと何が起きるか」で見ます。
| 観点 | 確かめること | 合わないと起きること |
|---|---|---|
| 予測 | 予測区分(コミットなど)を自社の定義で持てるか。先週からの変化を理由ごとに出せるか | 着地会議の前に、表計算で集計し直す |
| ステージの規律 | ステージを進める条件を決め、満たさないときに警告か禁止ができるか。例外を誰が承認するか | ステージが担当者の感覚で進み、確度が当てにならない |
| 分業 | インサイドセールスから商談する人へ、日付と受け手を決めて引き継げるか。アポを取った人の成果が残るか | 引き継ぎがチャットに流れ、アポを取った人の成果が数えられない |
| 受注後 | 受注した案件から契約・導入・更新へつながるか。更新を商談として立てられるか | 更新の時期が別の表に埋もれ、解約の気配に気づけない |
予測の行では、予測を記録する作業が人の手に残るかも見ます。記録の操作を忘れた週は、後から埋められません。
使い続けられるかの3つ
- 入力の軽さ:担当者が1件を更新するのに何回の操作が要るか。予測も規律も、担当者の入力からしか出てきません(SFAを定着させる方法)。
- 権限と記録:誰が誰の案件を見て、変えられるか。誰がいつ何を変えたかを追えるか。
- 料金と契約の条件:人数が増えたときの総額、初期費用、契約期間。見方は次の節で扱います。
7つに順番を付けるなら、自社の営業がいま崩れている場所から並べます。着地が読めないなら予測、引き継ぎで情報が落ちるなら分業が先頭です。
料金の見方:アカウント単価・上限・初期費用を、2年の総額で比べる
料金は、今の人数の月額ではなく、採用計画の人数で、初期費用まで含めた総額で比べます。月額が安く見える製品が、増員と初期費用を足すと高くなることがあるからです。
比べる総額 = 各月の(アカウント数 × 単価)の合計 + 初期費用
アカウント数は今の人数ではなく、採用計画の人数で置く見積もりをもらったら、次の4つを確かめます。
- アカウント単価:誰にアカウントが要るか。見るだけのマネージャーや経営層にも要るのか。
- 最低数と上限:最低の契約数や、上限を超えると上位のプランへ移る決まりが無いか。
- 初期費用:必須か任意か。含まれるのは設定の代行か、研修か。代行を頼んでも、何を設定するか(型)は自社で決めます。
- 契約期間:年間一括か月単位か。途中で増やす・減らすときの扱い。
例1年目10人、2年目20人の組織で、2つの料金体系を比べる
- 料金体系A:1アカウント月額6,000円、初期費用なし。1年目72万円、2年目144万円で、2年の総額は216万円。
- 料金体系B:1アカウント月額4,000円、初期費用100万円(必須)。1年目48万円、2年目96万円に初期費用を足して、2年の総額は244万円。
10人の時点の月額だけを見ると、Bのほうが毎月2万円安く見えます。 2年の総額では、Aのほうが28万円安くなります。
数値は説明のための架空のものです。
稟議には、初年度の額ではなく、この総額と人数の前提を載せます。 年度の途中で増員する予定があれば、その月からの増額を年度予算に入れておきます。
よくある選び方の失敗:比較表の○の数で決める、など3つ
選び方の失敗は、たいてい選んだ製品ではなく、選ぶときに何で比べたかから起きます。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 比較表の○の数で決める | ○×は機能が「あるか」にしか答えず、自社の型で動くかは分からない | 自社の型を1枚に書き、そのとおりに操作できるかをデモで確かめる |
| 管理職だけで選び、担当者が入力しない | 選ぶ人は画面を見る側で、入力する側の手間を試していない | 担当者に試用で実際の案件を入力してもらい、手間を聞いてから決める |
| 何でも作り込める製品で、以前の表計算を再現する | 型が無いまま設定を始め、今の表の列をそのまま項目にする | 先に型を決め、項目は型を回すのに要るものだけに絞る |
3つとも、選定の前に型を1枚に書き、入力する人を選定に入れれば防げます。 試用の期間は、担当者が実際の案件を入れ、週次の会議を1回その画面で回せる長さを取ります。
明日から始めること:自社の案件をデモに持ち込み、5つの質問で確かめる
デモでは機能の説明を聞くのではなく、自社の案件を1件持ち込み、その案件で操作してもらいます。売り手が用意した見本の案件では、どの製品もなめらかに動くからです。
持ち込む案件は、決裁者がまだ見えていない、途中で担当が替わったなど、自社でよく詰まる形のものを選びます。 同席は営業責任者だけでなく、入力する担当者とマネージャーを1人ずつ加えます。そのうえで、次の5つを聞きます。
- この案件をコミットに入れる条件は、どこで決まりますか。先週から予測が減ったとき、どの案件の動きかを見せてください
- 決裁者が紐づかないまま次のステージへ進めたら、どうなりますか。例外は誰が承認しますか
- IS から FS へ引き継ぐとき、商談の日と受け手はどこで決まりますか。担当を替えても、アポを取った人の成果は残りますか
- この案件を受注したら、契約と次の更新の時期はどこで追いますか
- 担当者の立場で、この案件の次のアクションを更新してみせてください。何回の操作で終わりますか
答えが「設定すればできます」なら、その場で設定してもらうか、誰が何日かけて設定するのかを聞きます。 設定にかかる手間は、料金の表には出てこない費用です。
答えを7つの観点の表に書き込んで候補を並べれば、そのまま稟議の比較資料になります。 選んだあとの進め方はSFA導入の進め方で扱っています。