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営業管理はエクセルで続けるか移すか:表計算が止まる5つのサインと、移す前に決めること

営業管理はエクセルでも、1人が週に1回表を締め、先週との差を説明できるうちは足ります。この記事の5つのサインと判断表で、表計算を続けるか移るかと、移す前に決めることが分かります。

RevenueScale 編集部公開 6分で読めます

営業管理をエクセルで行うとは:台帳・履歴・集計を1つの表計算で持つこと

営業管理をエクセルで行うとは、案件の一覧(台帳)、日々の動き(履歴)、会議の数字(集計)を、表計算のファイルで持つことです。エクセルでもスプレッドシートでも、考え方は同じです。SFAやCRMとの違いは、機能の数よりも値の持ち方にあります。

表計算は、セルに「今の値」を持つ道具です。値を書き換えると、前の値は表から消えます。 版の履歴で前の状態を1つずつ見ることはできても、先週の時点の全案件を並べて今と突き合わせる集計には使えません。

営業管理で、この性質がいちばん効いてくるのは会議です。 会議で問われるのは今のコミットの額より、先週からなぜ動いたかです。 上書きの道具では、その答えを毎週、担当者の記憶から組み立て直すことになります。

表計算で十分に回る3つの条件

次の3つがそろううちは、表計算で足ります。道具を替えるより、列の定義と締め方を整えるほうが効きます。

  • 締める人が1人いる:週に1回、決まった時刻に全行を確かめ、集計を出す人がいる。
  • 先週との差を説明できる:コミットの増減を、案件ごとの理由で言える。
  • 行を書き換える人が少ない:誰がどの行を変えたかを、聞けばすぐに分かる。

立ち上げ期に列を足しながら、ステージや区分の定義を試すには、表計算のほうが向いています。 定義が固まる前に道具を移すと、決まっていない定義を画面の設定で固めてしまいます。

エクセルの限界を示す5つのサイン:表計算のまま直せるかで判断する

限界のサインが出ても、表計算のまま直せるものは直して続け、直しきれないサインが増える向きなら移ります。分かれ目は、過去の状態を残せるかと、書き換えられる人を分けられるかの2つです。

エクセルの限界を示す5つのサインと、表計算のまま直せるか
サイン起きていること表計算のまま直せるか
数字が会議の直前にしかそろわない担当者が会議の前にまとめて更新し、それまでの表は古い直せる。締めの日時を決め、締めた後の値だけで会議をする
先週の状態を再現できないセルの上書きで前の値が消え、先週からの変化を記憶で説明している一部だけ。毎週の値を写すシートに追記する。写し忘れた週は戻らない
触る人が増え、式や並びが崩れる並べ替え・行の追加・式のコピーが、全員の表に効く直せる。入力の欄以外を保護し、集計は別のシートで出す
他人の行を書き換えられる編集の権限はファイルか範囲の単位で、担当者の行ごとには持てない一部だけ。範囲の保護は、人や行が増えるたびに付け直しになる
1つのシートに台帳と履歴が混ざる1行1社の表に、架電の結果や次の予定を右へ足し続けている直せる。台帳・履歴・案件をシートで分け、IDでつなぐ

「一部だけ」の2つは、人数と案件が増えるほど手当てが増えます。 写しのシートの作り方と締め方はヨミ表の作り方で扱っています。

もう1つの目安は、表を保つための手作業の時間です。誰が週に何時間使っているかを、次の式で数えます。

表を保つ手作業 = 更新の催促 + 集計 + 先週との突き合わせ + 式の修正

担当者が値を入れる時間は含めない。どの道具に移っても要る時間だから

判断の例:営業8人の表で、5つのサインと手作業の時間を数える

サインの有無と手作業の時間を並べると、続けるか移すかを、好みではなく事実で決められます。

例営業8人・進行中の案件120件のスプレッドシートを点検する

マネージャー1人と担当者8人のチームが、案件の一覧を1つのスプレッドシートで持っているとします。 毎週月曜の朝に、担当者が自分の行を更新してから会議をします。

  • 直前にそろう:あり。月曜の朝に更新が集中し、会議の前に催促している。
  • 先週を再現できない:あり。コミットが先週から400万円減ったが、担当者の記憶で説明できたのは失注300万円・後ろ倒し500万円・新規600万円まで。残りの200万円は、版の履歴を1セルずつ戻して減額だと分かった。
  • 式や並びの崩れ:あり。月に2回、誰かの並べ替えで集計の範囲がずれた。
  • 他人の行の書き換え:あり。保護は付けておらず、誰が変えたかは版の履歴で探している。
  • 台帳と履歴の混在:なし。

表を保つ手作業は、更新の催促が週30分、集計と先週との突き合わせが週2時間半、式の修正が月2回で1回1時間でした。 週にならすと、およそ3時間半で、すべてマネージャーの時間です。

直前にそろうことと式の崩れは、締めの日時と保護で直せます。ただ、先週を再現できない問題は、写しのシートを足しても、足す前の週までは戻せません。 このチームは次の期初に移ると決め、それまでは写しのシートで先週との差を残すことにしました。

数値は説明のための架空のものです。

逆に、サインが1つも無く、手作業も週に1時間ほどなら、今は移る理由がありません。 締め方と列の定義を整えるほうが先です。

エクセルから移すときのよくある失敗:今の表をそのまま移す、など3つ

エクセルからの移行が崩れるのは、道具の選び方より、移す前に決めることを飛ばしたときです。よくある3つと、その直し方です。

エクセルから移すときのよくある失敗と直し方
失敗なぜ起きるか直し方
今の表をそのまま移す列の意味(ステージ・予測区分・金額)が人によって違うまま移すので、新しい画面にも同じ揺れが並ぶ移す前に、ステージ・予測区分・次のアクションの定義を1枚に書き、移すのは進行中の案件だけにする
関数やマクロを足して延命し続ける直すたびに表が複雑になり、作った人しか直せなくなる。その人が異動すると止まる手作業の時間と、作った人への依存を数える。増える向きなら、移る時期を決める
機能の数で移る先を選ぶ表計算で困っていたこと(締め・先週との差・書き換え)が解決するかを確かめない今の表で困った場面を3つ書き、デモでその場面を再現してもらう

移す前に決める定義と、移す案件の絞り方はSFA導入の手順で扱っています。 候補の比べ方とデモで確かめる質問は、SFAの選び方にまとめています。

明日から始めること:続けるなら締め方を、移すなら定義を先に決める

どちらを選ぶ場合も、最初にやるのは今の表の点検で、道具の比較は最後です。次の5つから始めます。

  • 5つのサインのうち、今のチームに当てはまるものに印を付けた
  • 表を保つ手作業(更新の催促・集計・先週との突き合わせ・式の修正)に、誰が週に何時間使っているかを数えた
  • 続けるなら、締めの日時と、毎週の値を写すシートを決めた
  • 移るなら、切り替え日を次の期初に置き、ステージと予測区分の定義を先に書いた
  • 比べる候補に持ち込む、今の表で困った場面を3つ書き出した

続けると決めた場合も、四半期ごとに同じ点検をします。 人数と案件が増えると、サインは1つずつ増えていくからです。

よくある質問

営業管理をエクセルで行うメリットは何ですか?
費用がかからず、列を自由に足して定義を試せることです。立ち上げ期に、ステージや区分の定義を固める道具として向いています。1人が週に1回締められる規模なら、集計も式で足ります。
エクセルからSFAに移るタイミングはいつですか?
先週からの変化を説明できなくなったときと、表を保つ手作業が毎週の定例になったときです。移る日は期の途中ではなく次の期初に置き、それまでに定義と移す案件を決めます。
エクセルの営業管理表は、そのままSFAに取り込めますか?
列の意味がそろっていれば取り込めますが、全部は移しません。移すのは進行中の案件と、紐づく企業・人物だけにします。ステージや区分は、新しい定義に合わせて付け直します。