ヨミ表の作り方:列の定義で出来が決まる。エクセルでも崩れない設計と週次の締め方
ヨミ表の作り方は、1行1案件に事実の列をそろえ、確度と区分を手で入れずに式で出すことに尽きます。この記事の列の定義表と週次の締め方を使えば、エクセルでも人によって揺れない着地見込みを出せます。
ヨミ表とは:作り方の土台は「1行1案件」と3枚のシート
ヨミ表とは、商談の始まった案件を1行に1件ずつ並べ、金額・想定クローズ日・ヨミの区分を同じ定義でそろえた表のことです。今期の着地見込みを出すために使い、エクセルやスプレッドシートでも作れます。
区分はコミット・ベストケース・パイプライン・対象外の4つを使います。 着地見込みは、次の下限を基本に報告します。
着地見込みの下限 = 受注済み + 今期のコミット
ベストケースまで足した数字は、上振れの幅として添える1枚のシートに全部を載せると、過去の記録と今の状態が混ざって崩れます。役割の違う3枚に分けて始めます。
- 案件:今の状態。1行1案件で、担当者が毎週更新する。
- 記録:毎週の締めの時点の写し。追記だけで、過去の行は直さない。
- 定義:ステージ・区分・選択肢とその意味。管理者だけが直し、直した日を残す。
載せない行と、置かない列
アプローチ中の企業は載せず、営業リストで追います。 受注・失注した行は消さずに、ステージで閉じます。消すと、受注済みと予測を同じ表で足せなくなるからです。
- 担当者が手で入れる確度(%):同じ状態の案件が、人の気質で違う数字になる。確度はステージから引き、加重金額も式で出す。
- 月ごとの金額を横に並べた列:日付がずれるたびに手で移し、移し忘れると二重に数える。計上期は想定クローズ日から式で出す。
- セルの色だけで表すヨミ:並べ替えも集計もできない。色は区分の列から条件付き書式で付ける。
ヨミ表の列の定義表:担当者が入れる列と、式で出す列を分ける
担当者が入れる列は選択肢・日付・整数だけにし、確度や区分のような判断の列はすべて式で出します。自由に書ける文は、次のアクションの1列だけです。 表の「列」は、そのままテンプレートの見出しに使えます。
| 列 | 入れ方 | 入れる人 |
|---|---|---|
| 案件ID・会社名・案件名・担当者・ステージ | IDは重複しない番号で、一度付けたら変えない。担当者とステージは選択肢から選ぶ | 担当者 |
| 金額(税抜・円)・想定クローズ日 | 金額は整数だけ。日付は日付の形で、先方の手続きから逆算した日 | 担当者 |
| 決裁者・予算・手続き・日付の根拠 | 4列に分け、それぞれ3段の選択肢から選ぶ。空欄は最も弱い段とみなす | 担当者 |
| 計上期・確度・加重金額・既定の区分 | 想定クローズ日・ステージ・事実の4列から式で出し、列を保護する | 式 |
| 次のアクション・その日付・確認日 | 「誰と何をするか」を動詞で終わる1文で。日付は空欄にしない | 担当者 |
区分は「いちばん弱い事実」で式が決める
事実の4列の段を、定義のシートで3・2・1の数字に引き当てます。 段は足さずに、いちばん低い段を区分にします。
既定の区分 = 事実の4列の段のうち、いちばん低いもの
3ならコミット、2ならベストケース、1ならパイプライン。失注・保留は対象外足さない理由と段ごとの水準の文例は、フォーキャストカテゴリの決め方にあります。 担当者が既定と違う区分にしたいときは「申告の区分」の列に入れ、理由の選択肢を必須にします。 集計には、申告があれば申告、無ければ既定を使います。
週次の締め方:締めの日の値で記録し、放置の行をコミットから外す
週に1回締めの時刻を決め、その時点の値を記録のシートへ追記し、会議はその数字で話します。例えば月曜の朝に会議をするなら、締めは金曜の17時です。 会議の直前にしないのは、直前の更新が目標との差を意識した「上げ」になりやすいからです。
記録へは「値のみ貼り付け」で写します。式のまま写すと、案件のシートを直した瞬間に過去の記録も一緒に変わります。 放置の判定も式で出し、比べる相手は TODAY 関数ではなく締めの日を入れたセルにします。 TODAY は開くたびに計算し直すので、金曜に締めた表を月曜に開くと判定が3日進みます。
- 日付切れ:想定クローズ日が締めの日より前。今期の予測から外し、別枠で数える。
- 次の手なし:次のアクションの日付が空欄か、締めの日より前。会議で担当者に確かめる。
- 未確認:確認日が締めの日より14日以上前(日数は例)。コミットから外し、ベストケースで数える。
例放置の判定を入れると、着地見込みの下限が変わる
四半期の目標が5,000万円、受注済みが2,000万円のチームで、判定の列を足したとします。
- コミット:3,200万円 → 2,200万円(日付切れ2件の400万円を別枠へ、未確認1件の600万円をベストケースへ)
- ベストケース:2,800万円 → 2,500万円(日付切れ3件の900万円を別枠へ、未確認の600万円が加わる)
- 別枠(日付切れ5件):1,300万円
下限は5,200万円から4,200万円になり、目標に届いて見えていた数字が800万円の不足に変わります。 会議で決めるのは、日付切れのコミット2件の日付を先方の手続きから引き直すことと、未確認の1件の事実を確かめることです。 両方が戻れば下限は5,200万円に戻り、戻らなければその差が本当の不足です。
数値は説明のための架空のものです。
エクセルのヨミ表でよくある3つの失敗と、その直し方
エクセルのヨミ表が崩れる原因は、表計算が「今の値を書き換える道具」であることに行き着きます。よくある3つを、起きる理由と直し方で並べます。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 先週から減った理由を、誰も説明できない | セルを書き換えると前の値が消える。会社名で突き合わせると、表記を直しただけで別の案件に化ける | 締めごとに記録のシートへ値で追記し、案件IDで先週の行と突き合わせる |
| 着地会議の前に、区分が一斉に上がる | プルダウンで区分を選ばせると、選ぶ行為に自信の強さが入り込む | 既定の区分は事実の列から式で出し、申告には理由を必須にする。申告の数と向きを担当者ごとに毎週数える |
| 合計が、見えている行の金額より小さい | 金額に「約500万」と書くと、SUM は文字を無視し、エラーも出さずに合計から落とす | 金額の列は入力規則で整数だけを許す。幅があるなら先方が了承した額、無ければ低いほうを入れる |
先週との差を新規・増額・減額・後ろ倒し・受注・失注・その他の動きに分ける順番と、金額の出し方は着地見込みの変化分析で扱っています。 分類の順番を決めずに式を書くと、受注した案件が減額に数えられます。
明日から始めること:今のヨミ表を止めずに作り直す5項目
今のヨミ表は捨てずに、案件IDを振るところから作り直します。次の5項目を上から済ませれば、週次の会議を止めずに移れます。
- 全行に、一度付けたら変えない案件IDを振った
- 案件・記録・定義の3枚にシートを分け、合計は別の集計のシートで出している
- 金額は整数、日付は日付の形だけを入力規則で許し、式の列を保護した
- 既定の区分の式が、空欄を最も弱い段として扱うことを確かめた
- 締めの時刻と、記録のシートへ値で追記する担当を決めた
記録の写しが抜ける週がある。先週からの変化の説明を、会議の前に手で作っている。 この2つが2〜3週続いたら、表計算で人が見られる量を超えた合図です。
SFAへ移るときは、列の定義表がそのまま設計書になります。 進め方はSFA導入の手順と進め方を参照してください。