SFA導入の手順:画面より先に3つの定義を決め、生きている案件だけを移して90日で定着させる
SFA導入の手順は、ステージなど3つの定義を先に決め、生きている案件だけを移し、警告から始めて90日で定着させる順です。この記事の表と計算例で、切り替え日から逆算した計画を1枚に書けます。
SFA導入の手順とは:準備・移行・立ち上げ・定着の4段を90日で回すこと
SFA導入の手順とは、営業の定義を先に決め、要るデータだけを移し、ルールを段階的に強めて定着させるまでの段取りのことです。SFA(営業支援システム)を入れる作業は、そのうちの一部にすぎません。 進め方は次の4段に分けます。
- 準備(切り替えの2週間前から):ステージ・予測区分・次のアクションの定義を決め、移すデータを絞る。
- 移行(第1週):メンバーを招待し、企業・人物・案件を取り込む。旧表の更新を止める。
- 立ち上げ(第2〜6週):週次会議をSFAの画面だけで開く。進める条件は警告で測り、第6週に一度だけ定義を直す。
- 定着(第7〜13週):期末の着地会議をSFAの数字で行い、次の期初に禁止へ上げる規則を決める。
期間は計画の例なので、規模に合わせて伸び縮みさせます。 ゴールは「全員がログインする」ではなく、次の状態に置きます。
導入の完了 = 期末の着地会議を、SFAの数字だけで終えたこと
ログイン数や取り込みの件数ではなく、会議で使われたかで判定する90日は四半期1つぶんで、期初に定義を置き、期中の週次を回し、期末の着地会議を1回通せます。 予測の数字が道具の中で完結するかは、着地会議でしか試されません。 期の途中で始めるなら、最初の期は測る期間と割り切り、ルールを強めるのは次の期初にします。
導入前に決める3つの定義:ステージ・予測区分・次のアクションを事実で書く
画面や項目より先に、ステージの定義・予測区分・次のアクションの運用の3つを決めます。SFAに入る数字の意味は、この3つで決まります。 定義が無いまま移すと、旧来の曖昧さがそのまま新しい画面に並びます。
| 決めること | 決め方の基準 | 決める人 | 決めないと起きること |
|---|---|---|---|
| ステージの定義 | 各ステージに入る条件を、先方の事実で1〜3個書く | 営業責任者 | ステージの意味が人によって違い、加重予測が意味を失う |
| 確度と滞留の日数 | 確度は仮置きで始め、1期ぶんの実績で直す。滞留の日数は、そのステージで通常かかる日数から置く | 営業責任者と管理者 | 止まった案件の判定が厳しすぎるか、緩すぎて誰も見なくなる |
| 予測区分 | ステージごとの既定の区分と、上書きを認める理由 | 営業責任者 | 区分が自信の強さで決まり、着地の数字が人によって揺れる |
| 次のアクション | 進行中の案件に1つ。日付と「誰と、何を」を書き、終えたらその場で次を置く | マネージャー | 止まった案件が見えず、期末に日付が一斉にずれる |
| 金額と日付 | 税抜で、初年度の年額か総額かを決める。想定クローズ日は先方の手続きから引く | 営業責任者 | 合計が足し算にならず、日付が期末に集まる |
ステージの入口条件の文例は営業ステージの移行条件で、区分の基準はフォーキャストカテゴリの決め方で扱っています。コミットは、決裁者の合意・予算・発注の手続き・日付の4つが先方の事実で裏づけられた案件だけにします。
下書きができたら、進行中の案件を10件ほど選び、営業責任者とマネージャーが別々にステージと区分を付けます。 判定が食い違った案件は、定義の言葉が曖昧な箇所を指しています。 全員の判定がそろうまで言葉を直してから、定義書を確定します。
データ移行の手順:全部は移さず、「生きている案件」だけを移す
移すのは、切り替えた日から毎週の会議で扱うものだけです。全部を移すと、動いていない案件でパイプラインの合計が膨らみます。 最初の週に「SFAの数字は当てにならない」という印象が付くと、定義を直しても消えにくくなります。
進行中の案件は、次の3つをすべて満たすものだけを移します。
- 先方との最後の接点が、そのステージの滞留の日数の内にある。
- 次のアクションを、先方との接点として今日書ける。
- 新しい定義で、どのステージに入るかを答えられる。
企業と人物は、移す案件と既存顧客に関わるものだけにします。 人物は、名刺交換や商談で本人と接点を持った人に限ります。 「今後は連絡しないで」と言われた相手は、最初にアプローチ禁止へ登録します。
失注・保留の案件は、再アプローチの候補だけを営業リストへ戻します。 活動の履歴と過去の予測は移さず、旧表を読み取り専用で残します。
例進行中240件から、移す138件を絞る
旧データに進行中の案件が240件あり、3つの判定で点検したとします。
- 次のアクションを書けない(想定クローズ日が3か月以上前のまま):70件。担当者に確かめ、失注か保留で閉じる。
- 最後の接点が滞留の日数を超えている:55件。1週間で先方に連絡し、接点が取れた23件だけを移す。残る32件は閉じる。
- 3つの判定を満たした:115件。新しい定義でステージを付け直す。
移すのは115件+23件=138件です。
旧データの合計が4億2,000万円、移した案件の合計が2億3,000万円だったとします。 差の1億9,000万円は、案件が悪くなったのではなく、物差しを変えた結果です。 切り替えの報告ではこの差を別の行で示し、最初の会議が「なぜ減ったのか」の説明で終わらないようにします。
数値は説明のための架空のものです。
取り込みは、メンバーの招待、企業、人物、案件の順です。 紐づけ先が先に無いと引き当てに失敗するので、段ごとに件数と金額を移す一覧と照合してから先へ進みます。
SFA導入でよくある失敗:旧表との並行、全件の移行、取り込みで完了とする
導入の崩れ方は、道具の選び方より手順の組み方で決まります。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 旧表と並行して入力し、会議が旧表で回り続ける | 二重入力では慣れたほうが先に更新され、SFAの数字が古くなる | 切り替え日から旧表を読み取り専用にし、週次会議はSFAの画面だけで開く |
| 過去の案件を全部移す | 消すと後で困ると考え、1件ずつ判定する手間を省く | 3つの判定で生きている案件だけを移し、残りは旧表を読み取り専用で残す |
| 取り込みが終わった日を、導入の完了にする | 設定と移行を作業として区切るので、第6週の見直しと期末の着地会議が予定から消える | 完了は期末の着地会議をSFAの数字だけで終えた日に置き、見直しの日を切り替え前に予定表へ入れる |
導入の計画では、進める条件を禁止へ上げるのは早くても次の期初、とだけ決めておけば足ります。 どの条件から上げるか、入力を続けてもらうために会議をどう変えるかは、SFAが定着しない理由と直し方で扱っています。
明日から始めること:切り替え日を期初に置き、逆算して準備する
最初にやるのは設定ではなく、切り替え日を次の期初に置き、そこから定義書と移行の準備を逆算することです。切り替えの前日に、次の5つを確かめます。
- 定義書(ステージ・予測区分・次のアクション・金額と日付)を営業責任者が承認した
- 移す案件を3つの判定で絞り、旧ステージと新ステージの対応表を作った
- 会社名・金額・日付・担当者の表記を、取り込む形にそろえた
- 旧表の更新を止める日と、読み取り専用にする日を全員に伝えた
- 第6週の定義の見直しと、期末の着地会議の日を予定表に入れた