営業KPIの逆算とは?売上目標から架電数まで落とす式と、単価・率の置き方
営業KPIの逆算は、売上目標を平均単価で割って受注件数を出し、4つの転換率で順に割り戻して架電数まで落とす計算です。この記事の式と計算例で、四半期の目標を1日の架電本数まで分解できます。
営業KPIの逆算とは:売上目標を単価と4つの率で割り戻すこと
営業KPIの逆算とは、売上目標を平均単価で割って受注件数を出し、4つの転換率で順に割り戻して架電数まで落とすことです。売上目標(KGI)を、担当者が毎日動かせる行動の数(KPI)に変える作業です。
架電数 = 受注金額 ÷ 平均単価 ÷ 受注率 ÷ 実施率 ÷ アポ率 ÷ 話せる率
各段で端数を切り上げる。最後に稼働日数で割って1日の本数にする割る数は5つで、この5段のつながりを以下「鎖」と呼びます。どれも、何を分母にするかを1文で決めてから数えます。
- 平均単価:受注した案件の金額の平均。割ると受注件数が出ます。
- 受注率:初回の商談を実施し、結果が出た案件のうち受注した割合。割ると商談数が出ます。
- 実施率:取れたアポのうち、実際に商談できた割合。割るとアポ数が出ます。
- アポ率:話せた相手のうち、アポになった割合。割ると会話数が出ます。
- 話せる率:架電のうち、担当者と話せた割合。割ると架電数が出ます。
アポ数から架電数への下の2段は、必要架電数の逆算ツールでそのまま計算できます。 この記事は、売上目標からアポ目標までの上の段を中心に扱います。
端数はすべての段で切り上げます。 例えば4,800万円を単価260万円で割ると18.4…件で、18件では4,680万円にしかならず目標に届きません。
単価と率の置き方:鎖に通す金額を絞り、結果の出た実績から置く
逆算の結果は式ではなく入れる数で決まるので、鎖に通す金額を先に絞り、単価と率は結果の出た実績から置きます。単価と受注率は件数が少なく、結果が出るまで時間がかかります。 それでいて、そのずれは下の段すべての必要数を同じ割合で動かします。
鎖に通すのは、架電から作る新規の受注だけ
既存顧客の更新や追加購入は、架電の本数では増えません。問い合わせから来る商談は、受注率も単価も別物です。 混ぜて1本の鎖にすると率が良く見え、架電の必要数が少なく出ます。
アウトバウンドで作る受注金額 = 売上目標 − 既存顧客からの見込み − インバウンドからの見込み
既存顧客とインバウンドは、経路ごとに別に見込みを積む入れる数ごとに、使う実績を決める
| 入れる数 | 使う実績 | 避けること |
|---|---|---|
| 平均単価 | 直近4四半期に受注した案件の金額の平均。中央値と並べ、差が大きければ大型案件を外して個別に積む | 失注を含む商談の平均金額、提案時の金額、目標から逆算した「ほしい単価」 |
| 受注率 | 直近4四半期に初回の商談を実施し、結果が出た案件 | 今期の受注 ÷ 今期の商談(結果の出ていない商談が分母に入り、低く出る) |
| 実施率 | 直近1〜3か月に取れたアポ | 日程が決まっただけのアポを、実施した商談に数える |
| アポ率・話せる率 | 直近1〜3か月の架電。リストの種類ごとに分ける | 他社の目安や、種類の違うリストを混ぜた平均 |
| 商材・価格を変えた直後 | 変えた後の期間だけ。足りない間は仮置きと明示する | 変える前の実績を、そのまま使い続ける |
件数の受注率には、受注した案件の平均単価を組み合わせます。金額の率と混ぜると、同じ実績から違う答えが出ます。 分母の決め方は受注率の計算方法で扱っています。
計算例:四半期4,800万円を、IS1人1日28本の架電に落とす
逆算した本数は、架電する人の上限と商談する人の枠に照らし、悪かった期の率でも収まるかまで確かめて初めて計画になります。例では、架電をIS(インサイドセールス)、商談をFS(商談を担う営業)が担います。
例四半期の新規目標を、1日の架電数まで落とす
四半期の新規受注の目標が6,000万円(初年度の年額・税抜)で、IS3人、FS2人のチームとします。 インバウンドで1,200万円を見込み、残り4,800万円をアウトバウンドの鎖に通します。
平均単価240万円、受注率20%、実施率85%、アポ率20%、話せる率12%、稼働日60日と置きます。
- 受注件数:4,800万 ÷ 240万 = 20件
- 商談数:20 ÷ 20% = 100件
- アポ数:100 ÷ 85% = 117.6… → 118件
- 会話数:118 ÷ 20% = 590件
- 架電数:590 ÷ 12% = 4,916.6… → 4,917本。1日82本(81.9…)で、3人で均等に割ると1人28本(27.3…)
架電に1日2.5時間、1時間14本かけられるなら、上限は1人35本で28本は収まります。 商談100件は月34件(33.3…)なので、FS1人あたり月17件の新規の枠を予定表に先に押さえます。
次に、直近4四半期でいちばん悪かった期の率で計算し直します。 その期は単価220万円・受注率18%・実施率85%・アポ率19%・話せる率11%でした。
架電は6,946本、1日116本です。ISの上限は3人で105本なので、この期が来れば量では埋まりません。
数値は説明のための架空のものです。
5つの数は掛け算でつながるので、ずれも掛け算で効きます。 5つがそれぞれ1割悪いだけで、必要な架電は約1.69倍です(1 ÷ 0.9の5乗)。 悪い期に収まらない差は、率を楽観に置き換えて埋めず、人数・時間・目標のどれで埋めるかを期初に決めます。
よくある失敗:今期の不足を架電の上積みで埋めようとする、など3つ
逆算が崩れるのは式ではなく、期に入ってからの数字の扱い方です。よくある3つと、その直し方です。
| 失敗 | なぜ起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 今期の不足を、架電の上積みで埋めようとする | 商談期間があるので、今月の架電は主に来期の受注になる | 今期は進行中の案件を進める。行動の計画は、商談期間の分だけ前の期から積む |
| 逆算したアポが、FSの予定表に入りきらない | 架電の上限だけを確かめ、商談数をFSの枠と照らしていない。入りきらない分は日程が先に延びる | 商談数を月とFS1人あたりに直し、新規の商談枠を予定表に先に押さえる |
| 期の途中で、想定を実績に合わせて書き換える | 計画と実績の差が消え、未達の理由が「率が悪い」から「本数が足りない」にすり替わる | ずれた段の数だけ差し替えて試算する。想定を置き直すのは、下の段は月末、上の段は四半期の初め |
期に入ってからの着地は、計画の率ではなく、期内に閉じる案件の量で読みます。 必要な量の測り方はパイプラインカバレッジの記事で扱っています。
明日から始めること:金額の定義をそろえ、鎖を上限と照らす
最初の四半期は、金額の定義、鎖に通す金額、単価と率、上限との照合の順に進めます。定義がそろう前に率を出すと、その率そのものが信用できないからです。
- 目標と単価の金額の定義(初年度の年額か月額か、税抜か)をそろえた
- 既存顧客とインバウンドの見込みを先に引き、アウトバウンドの鎖に通す金額を決めた
- 平均単価は受注した案件から、受注率は結果の出た商談から出した
- 5段すべてを切り上げで逆算し、悪かった期の率でもISの架電の上限とFSの商談枠に収まるかを確かめた
- 余裕は率に隠さず、アポ目標の上乗せとして見える形で持つと決めた